2015年 09月 08日
![]() むかし店の棚にあった。S・H氏が初めていらしたときか、買ってくださったが、 自分からはなんとなく手が伸びなかったピンチョンも、文庫版なら読める。 分厚いハードカヴァの文庫化は、いずれ企画されることがあるだろうか。もしも 万が一、文庫にする気があるなら、急ぎお願いしたい。寿命が足りても、読む 体力・気力には限界がある。 これらは習作ですよと強調する長い序文は、謙遜から? それとも、DVD化した 映画のおまけに、フィルムメイキング・シーンを入れるのと同じ心理で? これら初期の短篇を読むと、ピンチョンはラファティやスタージョンの系譜にも 行けた、つまりマイナー・ポエティックなSF作家にもなり得たのにと、残念に思う。 大家、巨匠というのが、わたしのジャンルからずれるので。 大家、大作というだけで毛嫌いして読まないのは、もったいないことだけれど、 雄大な風景を美と見なし得ない体質なので...「重力の虹」だって読んでみれば、 マイナーなものを感じるかもしれないので、これはペンディング。 ミドルクラスの生活からはみ出して(奥さんから追い出されて)、ゴミの山の中で 小人のような妖精のような女と暮らすことを選ぶ「低地 Low-land」と、ほとんど スタージョン「人間以上」みたいな「秘密のインテグレーション The Secret Integ ration」が好きだ。とくに後者! "無垢の喪失"("イニシエーション物語"といってもいい)はアメリカ小説の一大 テーマというのか、一大オブセッションというべきか、「遠い声 遠い部屋」であれ 「ライ麦畑でつかまえて」であれ、アメリカ作家の出発地点だ。屋根裏の立てこもり 少年の夢想。うつくしいじゃない。 先住民を殺したり騙したりして土地を手に入れ、そこを勝手に約束の地と思い込む ピューリタンたちの子孫であることが絶えざる罪悪感として、遺伝子的記憶になり、 "無垢の喪失"("イニシエーション物語")をアメリカの作家たちに書かせるのか。 (トマス・ピンチョン/志村正雄 訳「スロー・ラーナー」 ちくま文庫 1999年3刷 J) ところで司法試験漏洩問題は、憲法学者全体のイメージを低下させるための 政治的な捜査ではなくて? 教えてもらった女性が、教授との恋愛から始まって いればいいな、ハニートラップでなければと願うが、捜査段階で、彼を売れば、 罪を軽くしてやるとでも言われていたら、それは結果的にハニートラップである。 事実、教えたのかもしれなくても、スキャンダルが戦争法案審議の最中に報じ られたことで、陰謀論に組したくなる。この展開、なにか不自然で、ニオう。
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by byogakudo
| 2015-09-08 21:06
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