2015年 10月 01日
~9月28日より続く 下巻末1/3近くは翻訳者による解説(編年体のキャサリン・ヘプバーン 活動史)と、自伝に出てくる人々や映画作品に関する訳注だ。 映画スターとしての彼女は多少知っていても、舞台女優としてはほとんど 知らないから、上巻を読むとき、これらを参照すべきだった。知識がないと 面白がれないものごとは多々ある。 「下巻」の『メモリアル・デイ』は完全主義者、完璧主義者が三人集まると、 どんなにおそろしい事態が発生するか、という短篇喜劇。 彼女の家の庭つくりを手伝ってあげようと、デヴィッド・リーンとその夫人が つき合ってくれた、いや、指導と恊働である。庭木の移植を始める前の雑草退治 から、話は始まる。 デヴィッド・リーン夫人だけ30歳以上若かったが、デヴィッドとキャサリン とはけっこうな年齢に達している。 <三人が三人とも、やりかけたことは最後までやるという気性だったし、 子どものときからそういうふうにしつけられていた。かたづけはじめたら 最後まできちんとかたづけろ、というわけだ。>(p18) そして地獄の行軍にも似た重労働作業が始まり、三人して、やめられない・ 止らない、悲喜劇が展開する。 次の『ウィリー・ローズと彼のマセラッティ』も、がんこもの二人の恋愛絡みの 道中記、シナリオ風だ。これもうまい。お互い嫌いじゃないのに、言うこと成す こと、相手のカンにさわることをやってしまう悲劇の(?)カップル未遂物語だ。 「上巻」の『L・B・メイヤー』に赤狩りのときの、彼女の振舞い方が記される。 < 民主党のヘンリー・ウォレスに紹介されたのは、たしか、検閲制度に対する 意見を私がおおやけにしたことがきっかけだったはずだ。 [中略] 私の発言は検閲制度に異議をとなえるものだった。あれはほんとうに やっかいな時代だった。一九四七年のことで、例の非米活動委員会が わがもの顔でのさばっていたころだ。映画関係者のなかにも、仕事を うしなう人たちがずいぶんいた。この意見表明も、はじめはエドワード・G・ ロビンソンがおこなうことになっていた。が、私は、これは自分がやるべき ことだと考えた。ロビンソンはユダヤ系だし、その立場は非常に左寄りで ある。彼が活動委に目をつけられていることはまずまちがいない。一方、 私のご先祖はメイフラワー号に乗ってアメリカへ上陸したうちのひとりだ。 委員会が私に難癖をつけてくる口実はまず見あたらない。私はこれまでの 人生で、どんな組織にもかかわりをもったことがなかった。私は意見表明を 自分でやることに決めた。新聞の対応は悪質だった。見出しも、本文記事も、 徹底して私を悪玉に仕立てあげた。私はいっさい反論せず、ひたすら口を つぐんだ。MGMは私に、政治的立場をあきらかにする声明を発表するよう もとめてきた。私は一部の人たちを刺激するようなことを書いた。 [中略] __私たちは長年にわたって言論の自由を保障されてきた。これまでもそう だったし、いまもそうだし、これからもずっとそうであるはずだ。言論の自由は 私たちの財産だ、と。 [中略] 私はメイヤーから呼びだしを受けた。「キャサリン、どうしてあんな声明を 発表したんだ?」 「ミスター・メイヤー、だれかが意見をいわなければならなかったんです。 私は、自分が適任だと考えました。いまの状況は愚劣で目にあまると思います。 しのぎきれない人たちは、いまひどい目にあっています。でも、私はなんとか しのげるわけですから」>(p374~376) (キャサリン・ヘプバーン/芝山幹郎 訳 「Me キャサリン・ヘプバーン自伝 上下」 文春文庫 1998初 J) リテラより引用する。 殺害予告を受けたSEALDs奥田愛基氏の父親が語った!「僕は黙らない」 「親の影響だと語るのは愛基に失礼だ」
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by byogakudo
| 2015-10-01 19:46
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