2015年 11月 02日
BOの半額棚なのに、裏ジャケットの惹句、 <「私の中で、三島由紀夫はとうの昔に終わっている」と 語って憚らない著者が、「それなのになぜ、私は三島が 気になるのか?」と自問を重ねる> というフレーズに思わず相づちを打ち、買ってしまった。 わたしの中では三島は終わるも終わらぬもなく、そもそも そんなに読んでないのだけれど、ときどき気になる。なぜ だろう、なにが気にさせるのか。それを考えることの手助け になるかもしれないから読んでみる、久しぶりの橋本治だ。 相変わらず、しつこく細かい分析である。日本の近代と、 近代の男の話、のヴァリエーションかな、と予測する。 三島由紀夫と平岡公威の関係あるいは無関係について__ <『「仮面の告白」ノート』の語ることは、 [中略] 「お願いだからつまらない詮索(せんさく)をしないで くれ」と言っているのである。 [中略] それを三島由紀夫は、作品を書く作家の礼式にのっとって 言ったのである。だからこそ私=橋本は、それを了承する。 だから私は、「つまらない詮索をしない」と言う__「それが 礼儀であろう」と。>(p115) <同性愛への性向を内在させてもいいとされる「芸術家の 自分」と、それがあってはならないとされる「芸術家では ない自分」との二つに自分自身を引き裂いて、『仮面の 告白』を書く三島由紀夫は、<私>という言葉の向こうに 存在するはずの「実体」を失ったのである。『「仮面の告白」 ノート』を書く<私>は、「誰でもない虚」なのだ。 [中略] 三島由紀夫は「虚の人物」なのだから、ここに、「彼は いかなる人物か?」という問いは成り立たない。成り立つ のは、「彼はいかなる作家か?」という問いだけである。 [大きく略] あるべき問いは、「三島由紀夫という作家にとって、同性愛は どのような意味を持つ、どのように位置付けられるものだった のか?」ということだけである。> (p116~117 『第二章 同性愛を書かない作家』) (橋本治『「三島由紀夫」とはなにものだったか』 新潮文庫 2004年11月1日 J) 11月4日に続く~
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by byogakudo
| 2015-11-02 16:21
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