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猫額洞の日々

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2017年 04月 11日

人形町界隈(2017/04/10)

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人形町界隈(2017/04/10)_e0030187_20271860.jpg












 今週は用事が続いて散歩日が少なくなる予定なので、と
理由付けする必要があるかしら、昨日は人形町界隈を歩いた。

 大通りを外れると、まるで吸い寄せられるように、"一見
3階建てのモルタル造看板建築"
2016年11月18日付けにも)
に逢う。Sが写真を撮っていたら、2012年9月24日の彼女
(だと思う)が出て来られて、お話しする。
 彼女からも、
 「ここね、以前、芸能人のお家だったのですよ」
 「三木鶏郎・事務所だったって、他の方からも言われました」

 お家を指差しながら恥ずかしそうに、
 「もう、ぼろぼろになっちゃって」
 「いや、きれいです、とてもうつくしいです」とお答えしたら、建物・
左側、横開きのガラス戸を指して、
 「エッグアートってあるでしょう? こっちは、わたしが作ったものが
置いてあるの。ご覧になりたい?」
 「いいんですか、ぜひ!」

 鍵を取りにわざわざ戻られ、開けてくださる。
 こちら側はむかし、京都出身の方がやっているカーテン屋さんだった、
とのこと。カーテン屋さんというのも、ハイカラだった。

 半間の三和土から先は板張りの床。四畳半くらいだろうか? なつかしい
安楽椅子(布張りで腕は直線気味の曲げ木)や低い卓、使われなくなった
家具が、みっしり置かれている。
 天井もなつかしい。白いパンチングボードで全面覆われている。

 卓上にも壁に寄せた棚にも、河原の小石、磨いた流木、松ぼっくりなどが
置かれている。彼女の作品であるレース編のドイリーも、何点も。
 「展覧会に出したりされないんですか?」と、S。
 「教えてくださった先生が亡くなられて教室がなくなったし、病院に通う
ようになって、もう作れなくなったんですよ」

 左奥のガラスの飾り棚にエッグアートが並ぶ。手に取ってごらんなさい、と
言ってくださるので、そうっと取り出す。
 西洋風の花柄を表面に描いたもの。殻を縦に切って内部に小さな兜を置き、
脇に菖蒲を描いた卵の隣は、お雛様のいる卵。クリスマス向けの作品だった
かしら、卵の背面に細い曲線がカットされているのもあった。
 「作ってはお友だちに上げたりして、今はこれだけなの」

 右側の棚には手製のワンピースを着ている、二十歳の彼女のモノクローム写真。
お友だちのお家が写真館で__写真館も、ハイカラでなつかしいお店だ__、
そこで撮られたものだ。丸襟に黒いリボンが結ばれ、愛らしい。
 写真立ての右側には、やはり彼女が作った藤工芸のお人形(今日の写真、下)。

 ここは中原淳一の世界だ。写真館では着物姿も撮ってもらったが、もう一度
撮ってあげようかと言われたら、シンプルなお洋服姿を選ぶ。
 彼女の作った手工芸品のどれにも、西洋への憧れがイメージの始まりにある
と、感じる。

 「私の思い出は虫入りの琥珀の虫」である時空間を見せてくださった、
東京の妖精に深謝。





呪 吐爛腐/呪 亜屁沈臓/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/





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by byogakudo | 2017-04-11 19:08 | 雑録 | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2017-04-11 22:28
小説に出てきそうな話ですね。
どっちかな。探してみよう。
Commented by byogakudo at 2017-04-12 23:01
歩いていると逢ってしまう建物です。


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