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猫額洞の日々

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2017年 12月 08日

(1)笠井潔×押井守『創造元年1968』3/4

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 わたしは70年代に若かったひとではあるが、学生運動とは
縁がなかった。世界が滅びる瞬間を夢想はするが、そのために
三島由紀夫の言う大掃除スタイル__タオルで鼻や口を覆い、
軍手をはめる__でデモに加わるのは、ファッション感覚と
合わない。
 「ぅわァれッ、ぅわァれッはー!」という発声も、祝詞のような
業界用語も合わないし、社会(多数)とわたし(個人)との連結に、
わたしは接続詞を見いだせなかった。わたしは、こんな言葉で語り
得るような"わたし"で(も)あるとは到底、思えなかった。

 社会とわたしとの連結・接続は、閉じこもっていた部屋を出て、
古本屋という職業をもち、労働の現場で直面する接客シーンで、
あっけなく、身近なものになった。
 労働と搾取の関係は、対あまぞんで、否応なしに実感・体感する
ものとなり、昔と変らず、マルクスなんか知らないよ、なのであるが、
資本主義については言いたいことが多くあるようになり、かくして、
わたしの問題は、わたしたちや、あなたたちや、彼らの問題に直結
してしまった。
 改宗者が過激に走るように、若いころ、いわゆる非政治的だった
反動で、今では暴走する老人になりそうだ。

 笠井潔も押井守も、飲屋で武勇伝としてナルシシスティックに語られる、
"あのころの俺たちはなあ"話に否定的であるが、己の過去を語る際に、
いちいち現時点からの批評を組み入れながら語ることは不可能で、だから、
飲屋でのおっさん話と、それほど感触は変らない。

 それでも、『第一部 ルーツ__68年世代の僕らをつくったもの』>
『今、68年を語る__もしかしたら。僕らは「粛清」されたかもしれない』>
『闘争の残像__68年のかなたへ』での以下の指摘は考えさせられる。

笠井 <68年>は世界的な出来事で、新左翼の極左部分が軍事行動を
 目指したのもイタリア、ドイツ、フランス、アメリカ、日本などで共通
 していたが、内ゲバは日本に特有の現象ですね。イタリアの赤い旅団
 西ドイツ赤軍(バーダー・マインホフ・グルッペ)の軍事闘争は苛酷性と
 徹底性で日本の例とは比較にならないけど、警官や保守政治家や企業
 経営者などの「階級敵」は容赦なく殺害しても、仲間は殺していない。
 自派だけでなく他派も含めて。連合赤軍のように自派内で、あるいは
 革マルと中核や革労協のように党派同士で殺し合い、百人を超える
 犠牲者を出した例は日本以外に存在しません。
  内ゲバがその後のアメリカ、ヨーロッパと日本の差を生んだ一因に
 なっている。ヨーロッパで街頭政治の伝統は、日本のように消えて
 いません。
 [略]
 新左翼は内ゲバで社会的共感を一挙に失いました。>(p047)

 市民社会の成熟度の違い、ということだろうか。
 街頭での政治行動の伝統は、ヨーロッパなどでは血を流しながら
市民社会が形成されたことに始まりがあるだろう。明治以来の日本
の無理な近代化でも血は流れたが、敗戦によるアメリカ占領軍の
支配にはほぼ無抵抗だった。"戦後民主主義"とは言うけれど、その
母体である市民社会は存在したのだろうか。


     (笠井潔×押井守『創造元年1968』 作品社 2016年2刷 帯 J)

12月9日に続く~





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

 上記のPDF





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by byogakudo | 2017-12-08 21:06 | 読書ノート | Comments(0)


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