猫額洞の日々

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2018年 01月 16日

獅子文六『ちんちん電車』読了

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 店を始めてまだ日が浅いころだっただろうか、単行本の方の
『ちんちん電車』を売ったのを覚えている。

 獅子文六による『あとがき』末尾に、

<見返しの電車双六は、都電研究家の高松吉太郎氏、表紙の
 電車切符は、蒐集家の中西賢三氏から拝借した>(p186)

ことに謝辞を述べているが、文庫版でも何とか再録できなかったか
なあ? カラー口絵を入れると、本の値段を上げなくてはならない
だろうが。

 これも失われた時代を回顧し、時代にそぐわなくて早晩消えゆく
もの(ここでは路面電車)を惜しむ著述だ。

 もはやないから、それは愛おしいものになるのか。失われてはじめて、
美は存在するのかと、ときどき思うけれど。

 かつて東京の町々をつないでいた市電が、自動車産業に追われて
路線が廃止されそうになった1960年代後半、獅子文六は最後の"ちん
ちん電車"の旅に出る。よく使っていた若いころ、幼いころを回顧する。
"ちんちん電車"は、さながらタイムマシーンだ。

 『六区今昔』では、田原町で降りて六区に行っていたころの記憶と、
60年代後半の現状との落差にショックを受ける。

<久振りに、六区の映画館を歩き、大変、驚いてしまった。こんなに、
 人の出てない六区を、見たことがない。
 [略]
 少ない人通りを、検分してみると、[略]昔のように、山の手の若者と
 おぼしき連中が、ほとんどいない。>(p149)

< 私は嘗ての六区が果した、文化的役割を、高く評価したいと、
 思ってる。私自身、ここで見たイプセンの"幽霊"とか、"ノラ"とか、
 その他の外国映画で、翻訳本では味わい得ない、文学的、演劇的
 啓発を受けた恩を、忘れることができない。>(p155)

 獅子文六はまた、
<日本館あたりで、石井漠が"牧神の午後"を踊ったのを見ている。
 装置も衣裳も、ロシヤ舞踊のマネだが、踊りは石井流、音楽はピアノ
 だけで、黒田ナントカという変った男が自己流な弾き方をした。恐らく、
 ヨーロッパで "牧神の午後"が発表されて、そう間もない頃だと思わ
 れる>(p156)

 日本のモダーニズムは、米軍の空爆で殺されたのだ。


     (獅子文六『ちんちん電車』 河出文庫 2006初 J)



 

呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


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 上記のPDF





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by byogakudo | 2018-01-16 20:43 | 読書ノート | Comments(0)


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