猫額洞の日々

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2018年 04月 11日

(4)パトリシア・ハイスミス/小尾芙佐 他・訳『風に吹かれて』読了

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~4月10日より続く

 昨日、感想を書いた『一生背負っていくもの』と同じようなツィスト
が『またあの夜明けがくる』(中村能三 訳)でも見られる。

 前者は小説家兼批評家の夫と、作家の妻のインテリ夫婦の物語だった
が、こちらは工員の夫、エディとアルバイト・ウェイトレスの妻、ローラ
の物語だ。
 夫婦ともカトリックなので避妊しない。とくに夫が避妊を拒否するので、
4人の子持ちだ。豊かではない生活の中、仕事に疲れ、子育てと家事に
追われてストレスがつのる。つい、夫婦揃って幼い子どもを虐めて、鬱憤
ばらしする。虐待と育児放棄的ふるまいで、ひとりの子どもが死に、妻は
医師からやっと、妊娠出産を避けるべきだという書類を書いてもらう。
 そこから彼女の夢想が始まる。もう一度、独身に戻って、新しい仕事に
就いて...

<医者の言いつけでローラは二種類の薬をのんでいた。それは[略]、
 陽気な気分にするための薬__だが、ほんとは麻薬をのまされた羊
 のように、彼女をもとの落し穴に追いこむ薬のように思われてきた。
 気づいてみると、ハドソン街の安アパートの流し台の前に、布巾を
 手にして立っている。>(p177)

 "また夜明けが"来ている、また、あの日常をくり返しているのだ。


 生活の中に潜む悪意や恐怖が描かれた短篇がほとんどだが、『島へ』
(岡田葉子 訳)は異色だ。
 群島巡りの船旅の話で始まる。孤独な、さらに孤立を好む質の主人公、
ダンは、他の船客たちと違って本島ではなく、<自分の島>(p210)に
行こうとしている。行ったこともないのに知悉している、彼の島へ、と。
 いよいよ船旅も終ろうとするころ、彼は他の人々もまた孤独で孤立して
いることに気がつく。
 ここまでは普通小説の域にあるが、翌朝、船内が騒がしくなってから、
俄然、ファンタジー領域に入る。

< Aデッキの階段から見た光景に、彼は足を止め、はっと息をのんだ。
 船が下方へと進んでいたのだった。海の中の広く長い路を下っていた
 のである。>(p213)
 船員たちは落着いて、ここが目的地だという。最初は驚いていた客たちは、
喜々として次々に下船する。最後の客になったダンも降りることに決めた。

< 彼は右舷の手摺りに足をかけ、宙に踏みだした。見えない地面
 数ヤード歩く。
 [略]
 彼はうしろを振りむき、相変わらず下方へ進んでいる船の見納めをした。
 だが、次の瞬間には、そんな自分に苛立っていた。なぜ船など見ている
 のだ__彼は自問した。そして、不意に向きを変え、歩を進めた。>
(p217)

 臨死体験の話、なのかなあ? 死ぬとき、いつもひとり。


     (パトリシア・ハイスミス/小尾芙佐 他・訳『風に吹かれて』
     扶桑社ミステリー文庫 1992初 J)

(1)パトリシア・ハイスミス/小尾芙佐 他・訳『風に吹かれて』
(2)パトリシア・ハイスミス/小尾芙佐 他・訳『風に吹かれて』
(3)パトリシア・ハイスミス/小尾芙佐 他・訳『風に吹かれて』
(4)パトリシア・ハイスミス/小尾芙佐 他・訳『風に吹かれて』





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

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 上記のPDF





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by byogakudo | 2018-04-11 15:23 | 読書ノート | Comments(0)


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