猫額洞の日々

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2018年 04月 19日

(2)葦原邦子『夫 中原淳一』読了

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~4月18日より続く

 "大スター同士の結婚"を"引き"で見てみる。
 スター・アーティストもまた職業人だから、仕事と家庭の両立
という問題を抱える。どちらのアーティスト・エゴを優先させるか。

 中原淳一は結婚前、啓ちゃん(後の、片山龍二)と呼ばれる弟分
と暮していた。二人の関係はホモ・セクシュアル、あるいは近ごろ
言うホモ・ソーシャルだろう。
 そこへヘテロ・セクシュアルではあるが、"宝塚の男役"女性が
妻として加わる。彼女は中原淳一のミューズである。
 ミューズとは結婚なんかしない方がいいのにと、後年の読者は、
おせっかいなことを思うが、三島由紀夫のころまで、男も女も結婚
して家庭を持って子どもを持って、社会的に承認されることになって
いたので、いつかは結婚しない訳に行かない。だったら、ミューズと
ということだろうか。
 子孫を持たないとする荷風の決意は、社会に対する決定的なノーの
ひとつなのだと、これも今更ながら思う。

 中原淳一の戦前は「少女の友」、戦後は自分の出版社から出した
「ひまわり」や「それいゆ」でスターダムに在った。
 葦原邦子が描く中原淳一は、ひたすら作ることに専念する、職人気質
のアーティストだ。一部分でもひと任せにできない、全部、納得できる
まで自分の手で仕上げなければ気がすまない、完璧主義者。頼まれた
仕事を断ることも嫌う。
 もうちょっと"引き"の能力があったら、セルフ・プロデュースする視点を
持っていたら、心身を酷使して何度も倒れることはなかったかも知れない。

 1958年7月、心筋梗塞の発作。
 1959年7月、脳溢血。
 1960年、自宅療養中に心臓発作。「ひまわり」「それいゆ」廃刊。
 1970年3月、「女の部屋」創刊。一年間に3回倒れ、第5号で廃刊。
 1972年、脳血栓で倒れ館山市で療養。
 1979年、脳血栓と心臓発作が同時に起き、入退院を繰り返す。
 1983年4月19日、死去。

 35年前の今日、中原淳一は亡くなった。べつにそれを意図して読んで
いたのではなく、たまたま、こうなったのだが。

 中原淳一の仕事と闘病の物語のあいだに、家庭内のもうひとりのスター、
葦原邦子の心理と行動が記述される。家庭人に納まろうとして納まりきれ
ない自分自身を否定的に捉えながらも、仕事をしたいという欲望は抑えられ
ない。
 けれども彼女が仕事への路を断ち切っていなかったから、中原淳一が倒れた
後も生計が成り立った。葦原邦子は妻としての至らなさだけを感じなくてもいい
のにと思うけれど、亡くなって一年では、"妻"になりきれなかった後悔ばかりが
強く感じられたのだろう。


     (葦原邦子『夫 中原淳一』 平凡社ライブラリー 2000初 J)

(1)葦原邦子『夫 中原淳一』
(2)葦原邦子『夫 中原淳一』


[同日追記:
 啓ちゃんこと片山龍二の本名・南谷勝敏で検索したら、兄・中原淳一から
弟・中原啓一に宛てた手紙が、風船舎の通販サイトに出ていた
昭和17年8月12日付けと日付なし・戦前)。
 また、国立国会図書館サーチに、三島由紀夫『創作ノオト"盗賊"』初版の
データが出ていた。1955年、ひまわり社・南谷勝敏による肉筆版である
らしい?]





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by byogakudo | 2018-04-19 21:32 | 雑録 | Comments(0)


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