猫額洞の日々

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2018年 05月 03日

加藤周一『読書術』読了

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 写真は近所(といっても東高円寺駅近く)の猫。

 1962年に刊行されたが、時代的違和感なく読める。
加藤周一がどんな態度・選択方法で、いろいろな本や
雑誌や新聞を読んできたかという、実用書のスタイルで
書かれたエッセイ集だ。

 目次を記すと、
<まえがき
 I どこで読むか
  1 寝てもさめても
  2 幾山河
 II どう読むか、その技術
  3 おそく読む「精読術」
  4 はやく読む「速読術」
  5 本を読まない「読書術」
  6 外国語の本を読む「解読術」
  7 新聞・雑誌を読む「看破術」
  8 むずかしい本を読む「読破術」
 あとがき、または三十年後>

 『II 6 外国語の本を読む「解読術」』から引用する。
 
<英語の場合に、文学を読むために必要な知識と、
 文学以外のものを読むために必要な知識とのあいだ
 には、大きなへだたりがあるように思われます。>
(p138『英語が短時間で上達する法』)
 だから仕事に必要な技術書などはシンプルな構文と限られた
語彙で書かれた英語で読めばよく、たのしみのための読書は
日本文学で満足するか、英文学の古典を翻訳で読めばいい
(マイナーな作家ほど翻訳がむずかしい)と、合理的な読書
態度を勧めるが、

<相当むずかしい外国語の文章をていねいに読むことが、
 それ自身役に立たないものであるかどうか。
 [略]
 かならずしもむだな道楽にはならないだろうと考えます。
 [略]
 外国語の言葉の構造そのものと読者が、いわば向きあうことに
 なるからです。
 [略]
 西洋語の構造は、まず主文章を示し、主文章のなかの部分を、
 関係代名詞を使いながら、あとへゆくほど綿密に分析的に述べて
 ゆくという形をとっています。
 [略]
 「私が行った、映画館へ」という[注:西洋語の]文章は、それを
 どこかで切って、それぞれその区切ったところまでの意味を持って
 います。ところが「映画館へ私がいった」という[注:日本語の]
 文章では、「映画館へ」までのところに独立の意味がありません。
 なぜならば、話し手と映画館との関係がまったくわからないかぎり、
 どんな映画館にも意味がありえないからです。一方は、全体的な
 構造の枠から出発して部分におよびます。他方は、部分から出発
 して全体的な枠に到達しようとします。文章が完結したときには
 同じであるとしても、その途中の過程はまったく方向が違っている
 といっていいでしょう。
 [略]
  ところが、ものを考えるということは、それ自身が過程であって、
 完全に空間化されて、完結した世界ではありません。
 [略]
 本は何度繰り返して読んでみても、ある瞬間には全体の評価の
 ある部分に接しているので、けっして同時にその全体と相対する
 ことはありません。そういう考えの進む過程は一つの文章のなか
 にもあり、一つの文章から他の文章への動きのなかにもあります。
 [略]
 その過程が違うということは、したがって、ものの考え方が違うと
 いうことにもなるでしょう。
 [略]
 人間の考えは、日本語とか英語とかいう言葉の記号の体系を使わず
 にはあり得ないものです。その記号の体系が違えば考えもまた違う。
 西洋語の文章の構造と相対するということは、したがって、日本語と
 違う西洋語の構造にあらわれている西洋式思考の過程と相対すると
 いうことです。>
(p141『日本語と外国語の違い』~p144『外国語を読めば、ものの
見方が変わる』)
 他の言語との接触なしには生まれ得ない日本語記述だ。

 原著は、1960年(60年安保の年)に光文社から
<高校生へ向けて「読書術」という本を書かないか、書けば新書判の
 「ベストセラー」にしてみせる」
(p209『あとがき、または三十年後』)
という話があり、口述筆記の後、整理した原稿を渡し、出版された。
 ほんとにベストセラーになり、しかも版を重ねた。そして1993年、
岩波の同時代ライブラリーに収められ(『あとがき』はそのときのもの)、
2000年に岩波現代文庫に入った。

 "高校生へ向けて"書かれて、"ベストセラーかつロングセラー"へ!
人類が本を読む生き物であることが前提だった時代、とも思うが、
人々が読む文字量は、本や雑誌に印字されていた時代より、web上
で読む今の方が増えているかも知れない。
 本は読んで考える時間が長く、webは反応に要する時間が短いという、
大きな違いがありそうだが。
 

     (加藤周一『読書術』 岩波現代文庫 2010年15刷 帯 J)





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

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by byogakudo | 2018-05-03 21:42 | 読書ノート | Comments(0)


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