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猫額洞の日々

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2018年 05月 04日

ボリス・ヴィアン/鈴木創士 訳『お前らの墓につばを吐いてやる』読了

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 1980年ころ早川書房から出た『ボリス・ヴィアン全集』は
全部読んだのに、すっかり忘れている。あのときは、サンジェル
マン・デ・プレ=知的で反抗的な若者たち=おッしゃれー、みたい
な記号に括られてボリス・ヴィアンの再紹介が試みられたのだろう。

 今回の新訳は、各国の内外で分断が進行する"いま"を痛切に反映する。
 初めて、ボリス・ヴィアンが正統にトータルに紹介された、と言える
だろう。理由なく反抗する無軌道なアプレゲール(という商品)でも、
おしゃれな消費記号でもない。フランスの戦後という時代状況に誠実に
反応し、透明な哀しさを湛えた小説を書いたボリス・ヴィアンが、清新な
日本語で読める。

 原作が読めないので知る由もないが、ボリス・ヴィアンは、アメリカの
作家=ヴァーノン・サリヴァンらしさを演出するため、"翻訳"する際に
当時のフランス語のスラングを効果的に用いたのではないかしら。
 その効果を日本語で見せるために鈴木創士氏は、たとえば"いけてる"
という日本語スラングを採用されたのではないか。

 小説で流行り言葉を使うのはむずかしい。取り扱い注意事項のひとつだ。
"いけてる"が浮かない(どころか、この手があったかと驚いたのだが)のは、
鈴木氏の共感と考察とが全体に浸透しているからだ。

 巻末の『訳者あとがき』は必読だ。トランプや安倍晋三に世界が覆いつく
され、飲み込まれそうになっているかに見える、ファシズム前夜を拒否する
一冊だ。

 68年5月から50年後の5月、ボリス・ヴィアンは新たに正しく、日本語で
誕生した。


     (ボリス・ヴィアン/鈴木創士 訳『お前らの墓につばを吐いてやる』
     河出文庫 2018年5月10日・初版印刷 2018年5月20日・初版発行
     帯 J)





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
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by byogakudo | 2018-05-04 21:41 | 読書ノート | Comments(0)


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