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猫額洞の日々

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2018年 05月 31日

森茉莉付近(52)/(2)近代(こだい)ナリコ・編『FOR LADIES BY LADIES 女性のエッセイ・アンソロジー』読了

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~5月30日より続く

 矢川澄子『卯歳の娘たち』より引用したい。

<卯歳とともに立去っていった森茉莉さんのことを思い出さない
 わけにはいかない。茉莉さんはちょうど少女野上弥生子が明治
 女学校にせっせと通っていた頃の東京で、二十世紀最初の卯の
 歳(明治36年)に生まれ、還暦の上にさらに二回りを重ねて七度
 目の卯年になくなったのだった。
  [略]じつは二年まえに逝ったわたしの母も、茉莉さんとおない年の
 卯の生まれだった。生れ育ちも東京の、それも医者の娘という、境遇
 としてはかなり似通ったところのあるこの二人ではある。>
(p272-273)

 森茉莉と矢川澄子の母、お嬢さん育ちの二人は
<極端に片付け下手>(p277)という共通項がある。

 矢川澄子の母は晩年を、世田谷区の介護施設、U院で過ごした。
< 茉莉さんの終焉の家になったフミハウスは、たまたまこのU院と
 小田急線をへだてて反対側にある。代沢のマンションを追われる
 ようにして茉莉さんがこちらに移ってこられたのは、わたしとしては
 かえって好都合だった。>(p274)

 両方にお見舞いに行けるからだが、
<母の方はなるべくなら食事の介護もできるように、その時間に
 いあわせた方がよろこばれるし、[略]こちらが優先されることに
 なる。茉莉さんの方はなにしろ時間など、あってもなくてもおなじ
 ようなものだから。>(p275)

< U院をあとに、次なる兎の住居に足をふみいれたらさいご、[略]
 要求されるのはもっぱら耳であり、聞き役であることだった。
  お引越しの日にお目にかかった次男の亨(とおる)さんに、世田谷の
 このあたりはわたしのホームグラウンドですし、なによりこのさきの
 U院に母がお世話になっているのでたびたび足を運びますから、と
 安心していただくつもりで申し上げると、亨さんは、それはありがたい
 けれど、でも近くにそんな施設があるなんてことは茉莉には伏せて
 おいてくださいね、と念を押された。いわれるまでもなかった。
 [略]
  茉莉さんはほんとにとめどもなく語りつづけた。まるで話が熄(や)んで
 こちらが「そろそろおいとま」といいだすのを恐れでもするかのように、
 継ぎ目もなしにことばが紡ぎだされてきた。こちらがよほど意志鞏固
 (きょうこ)でないかぎり、その日のそれ以後の予定はことごとくご破算
 になることをはじめから覚悟してでなければ、おいそれとお訪ねできな
 かった。そんなにまで話したがるその話題はといえば、すでに一再ならず
 茉莉さんによって書かれたか、もしくは語られたかして、先刻承知ずみの
 ことばかり、こちらとしてもあらたに得るものはほとんど皆無といっても
 よかったろう。
  それでもやはりわたしは茉莉さんをたずねつづけた。なぜってわたしは
 やはり茉莉さんが好きなのだったし、その好きな彼女が久々に聞き手の
 居合せてくれるよろこびを全身で表しているのを見るだけでも十分たのし 
 かったから。>(p276-277)

 矢川澄子のファンではまったくないが、二人に、老いゆくことのロール
モデルを見ながら、
< 自然に抗わず、老いと亡びにまかせるといった生き方は大きくいって
 共通していたけれど、[略]
 わたしはこれからいったいどちらの似姿により近づいてゆくのだろう。>
(p278)
と思いながら、自死を選ぶ方向に彼女を押しやった力が、やりきれない。


     (近代(こだい)ナリコ・編『FOR LADIES BY LADIES 女性の
     エッセイ・アンソロジー』 ちくま文庫 2003初 J)

(1)近代(こだい)ナリコ・編『FOR LADIES BY LADIES 女性のエッセイ・アンソロジー』
(2)近代(こだい)ナリコ・編『FOR LADIES BY LADIES 女性のエッセイ・アンソロジー』





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by byogakudo | 2018-05-31 21:28 | 森茉莉 | Comments(0)


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