猫額洞の日々

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2018年 10月 09日

獅子文六『胡椒息子』読了

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 昨日(10月8日・月)午後は、歩いて高円寺へ。天祖神社~
かえる公園~小さな天使像と歩いて、カトリック高円寺教会に
行こうとしていたが、桃園川緑道~JR高円寺駅、BECK'S休憩
になってしまった。
 新高円寺から地下鉄で帰る途中、アニマル洋子・店頭で、獅子
文六『胡椒息子』(角川文庫)を見つけた。S が店内で矢野誠一
『志ん生の右手 落語は物語を捨てられるか』(河出文庫)に手を
出し、わたしは店頭の矢野誠一『藝人という生き方 渥美清のこと
など』(文春文庫)を抜き出す。
 『志ん生の右手』が部屋にあるのを戻ってから思い出したが
(ったく、もう。すぐ忘れる)、いいさ、状態のよい方を28日(日)
の喫茶[ε]古本市
に出そう。

 というわけで昨夜から今日にかけて、獅子文六『胡椒息子』を読む。
昭和12年(1937年、作者が44歳のとき)、「主婦之友」に連載だそう
だが、スピーディな展開、というより、ストーリー自体のもつ速さ、
が魅力のひとつだろう。
 若いとき、ミュージシャンは速く弾ける。映画監督もモタラずに撮る。
作家も速く思考し、ストーリー展開が速くなる、のではないかしら。
 
 風俗小説家としての獅子文六が好きなので、時代背景を示す箇所に
紙きれを挟みながら読んだ。

 東京・麹町のブルジョア家庭の物語だ。夫妻と子ども3人。上の兄と
姉とは夫婦の実子、末っ子の"胡椒息子"は夫と芸者の間に生まれた。
 彼を実子として引き取ったことの無理が、家庭内を覆う。
 夫は仕事と女遊びで家にいない、妻は外出好きで家にいない、甘やか
されて育った、年頃の息子も娘も外で遊び回る。もうすぐ中学生になろう
とする少年を大事にいたわってくれるのは、婆や独りだ(いなか訛で朴訥
な住込み家庭教師も、彼に対して同情的である)。
 
 1936-37年当時が背景なのに、戦争なんて、どこにあるのかと思われる、
お金持ちの生活描写がほとんどだが、きな臭さがときに顔を見せる。

 少年が継子いじめ的に感化院に送られる。そこでの日課は、
< 七時、宮城遥拝。静坐、三十分。>(p167『或る感化院の午後』)
から始まる。

 また、最初は敵対した、年上の乱暴な少年と仲よくなり、ふたりで
五月晴れの丘で駄菓子を食べる。そのとき胡椒息子が歌うのは、
<  見よ東海の空明けてェ
   旭日(きょくじつ)高く輝けばァ......>(p184『嵐』)と、"愛国
行進曲"であり、仲よくなった少年は口笛でそれに和す。 

 婆やが倒れたと聞いた少年は、彼女が身を寄せる家を訪ねる。
< 今日は氷川神社の夏祭である。もっとも、支那事変のおりから、
 派手な本祭は遠慮して、お神輿(みこし)も、子供達の揉(も)み合う
 樽(たる)天王しか出ないようだ。>(p216『夏祭』)
__戦争の影は、この三カ所くらいしか見当らない。

 あとはブルジョア・ライフの描写が多い。
 長男は洗面所で髭を剃り終わると、小間使から熱いタオルを
受け取り、
<ウビガンの化粧水(ローション)を掌(て)へ滴(た)らせて、セッセ
 と顔へ擦(す)り込んだと思うと、今度はコティのクリームを、指尖
 (ゆびさき)にベッタリとつけた。>(p81『重大事件』)

 長女は、
<午後の課業をエスして、外苑へきてしまったのである。>
<R大学とM大学のラグビー試合があったからだ。>
(p89『重大事件』)

 胡椒息子にしても、
<小型ながら、東京人の一人だから、銀座が好きである。銀座が
 好きというよりも、銀座の喫茶店で、モカだのエクレアだの、
 好きな西洋菓子を腹一杯食べるのが、好きなのであろう。>
(p124『蔭日向』)

 胡椒息子は麹町の屋敷を出て、血のつながりのない、けれども
仲良しの婆やと暮らすことを決める。きっと、この小説は漱石
『坊ちゃん』の系譜なのだろうが、わたしは未だ『坊ちゃん』を
読んだことがない(し、読まずに死にそうな)ので、あんまりヨタ
を飛ばすのも、いけないだろう。


     (獅子文六『胡椒息子』 角川文庫 1969改版初 J)




呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

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by byogakudo | 2018-10-09 21:00 | 読書ノート | Comments(0)


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