2019年 01月 07日
~1月3日より続く ただ書き続けることこそ作家の生活なのだが、それでも、カフェ・ ソサエティが振りまく、きらきらしたライフスタイルの魅惑はトルー マン・カポーティを惹きつける。 カポーティが作家でなくて、彼がお手本にしたセシル・ビートンの ようなフォトグラファであったら、あるいはカポーティのやり方を 真似たアンディ・ウォーホルのように画家であったら、『叶えられた 祈り』の一部を発表して、社交界からそっぽを向かれる、口もきいて もらえない事態には至らないですんだだろう。 『1975 第35章 カポーティの爆弾に、社交界はおぞけをふるう』で、 本に関わる人々が、カフェ・ソサエティの連中は何を今更、スキャンダル を暴露されて慌てたのだ、と述べる。 たとえば、ダイアナ・トリリング(文芸評論家)は、 < ひどい意地悪だわよ。[略]でも、別の見方をすれば、まな板に 載せられたあの人たちは、彼を一種のエンターテイナーとして 利用していたのよね。宮廷の道化師だと思っていた。彼のほうは、 上流社会を描く小道具としてあの人たちを利用した。せいぜい、 おたがいさまじゃないの?>(p390上段) キャロル・マーカス・マッソー(カポーティの子ども時代の友達、 ウォルター・マッソー夫人)は、 <作家は書く。それを知らない人がばかなのよ。 [略] 作家はタイプライターに向かうと別人になるのよ。トルーマンが タイプライターの前に坐れば、ベイブ・ペイリーは普段のベイブ とは別の存在になる。どんなしっぺ返しを食らうか知っていても、 彼はきっと書いたでしょうね。誰よりも度胸のある人だったから。> (pp391下段-392上段) マリア・テレサ・カーン(著作権エージェント業)は、 <あんな反応が出るとは思っていなかったんじゃないかしら。 せいぜい「まあ、トルーマン、あなたったら、ほんとにいけない 人ね」とかなんとか。だからあんな態度にぶつかってびっくり したんでしょう。 [略] なぜあんな騒ぎになったのか、彼はついに理解できなかった。噂話 って、ただ耳で聞くより活字になったほうが何倍も傷つくものよね。> (p395上下段) せまい、隔絶した社交界でひそひそと囁かれる噂話(ゴシップ)は、 そこだけで消費流通するもので、外に洩れるなんて、当事者たちは 誰も想像していなかった。カポーティが脚色して、より面白く話す、 お互いの噂話(スキャンダル)を安心して容認し、消費していた。 けれども、活字になって、広く一般大衆の目に曝され、部外者たち にも消費されることは、決定的に違う。せまい社交界で口で言われ 耳で聞くのと、書かれた言葉で読むことには質的な隔たりがある。 この大きな違いに、書いたカポーティにしても、発表した後に、 やっと気がついたのだろうか。だとしたら、ナイーヴだ。 社交界人・カポーティのピーク、1966年11月、プラザ・ホテルで 彼が催した、黒と白の舞踏会に対する反応も、面白かった。 招待された人々の中の何人もが、宮廷舞踏会に参加することへの 不安を語っている。フランス革命を思い出して、帰るときには、囚人 護送馬車に乗せられるのではないかと感じるのだ。王権が存在しな かったアメリカらしい反応でもあるし、ヴェトナム戦争真っ只中なのに、 こんな華やかな場面に出席していてよいのか、という素直な反応でも ある。 文中では誰もそうは言わないが、ホテルを借り切って行われた舞踏会 にかかった費用、カポーティが個人で負担したお金の原資には、6人の 死者があることを、みんな無意識に感じて、居心地の悪さを覚えたの ではないかしら? リチャード・ヒコックとペリー・スミスが殺したクラター家の4人と、 絞首刑になったリチャード・ヒコックとペリー・スミスの2人。計6人の 死後、『冷血』は出版され、売れまくり、トルーマン・カポーティは大金 を手にした。 誰の、どんな種類の資本にしても、資本の形成時には血が流れるものと 決まってるが。 (ジョージ・プリンプトン/野中邦子 訳『トルーマン・カポーティ』 新潮社 1999初 帯 J) (1)ジョージ・プリンプトン/野中邦子 訳『トルーマン・カポーティ』 (2)ジョージ・プリンプトン/野中邦子 訳『トルーマン・カポーティ』 (3)ジョージ・プリンプトン/野中邦子 訳『トルーマン・カポーティ』 サイコパスども__ 滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・ 夷蛮禍/ 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)+東京都の 安保関連法(戦争法)に賛成した議員名 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る 「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動 上記のPDF
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by byogakudo
| 2019-01-07 11:00
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