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猫額洞の日々

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2019年 01月 15日

(1)F・W・クロフツ/井上勇 訳『山師タラント』開始

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 主人公はジェームズ・ペチグルー・タラントなる野心的な若い男、
若いといっても原作刊行が1941年だから、その当時の30歳なら、
もはや若くもないか。野心の成就に焦りを覚える年頃なのだろう。

 タラントは、お金持ちになることこそ、人生の目的と信じている。

<子供のときですら、どうにかして、切られたケーキの大きいほう
 や、遠足のときのいちばんいい座席が自分に転(ころ)がりこむよう
 にした。学校では、その性癖が評判になり警戒された。>(p11)
__打算的に生まれついている。

 成功するためには熱心だし、
<スマートなみかけを持ち、態度もよかったので>(p11)
薬剤店の若手販売員として昇進するが、転職したのが失敗だった。
 このままでは、小さな町の小さな(だが堅実な)薬局の跡継ぎに
なるくらいで終りそうだが、
<タラントは金が__金と贅沢(ぜいたく)と、なににもまして、金の
 もたらす権力がほしかったのである。>(p10)

 そういう男の、彼の考える成功への道程を、じわりじわりと記述する
のが、いかにもイギリスの小説らしい、クロフツらしい書きっぷりだ。

 主人公の言動やできごとを、レポーターがムーヴィカメラを廻しながら
報告するように記述するのが、イギリス流リアリズムなのかしら? 
 大人用の『ロビンソン・クルーソー漂流記』を読んだとき、ひとつでも
書き漏らさないよう、細かいことまで逐一書くのかと驚いたのを思い出す。
 『ロビンソン・クルーソー』の場合、綿密な記述で塗り込められ過ぎて、
却って何も起きていないかのような平板さも感じたように覚えているが、
あれは一種の幽閉譚だから、日々の単調さを伝えるための技術でもある
のかしら(考え過ぎ?)。

 各章のタイトルが記述内用を要約している。
 まだ『1 ジェームズ・タラント スタートを切る』を読んでいるところだが、
日本語訳の"ジェームズ・ペチグルー・タラント"表記は、今だと"ペティグルー"
になり、『12 ジョジフ・フレンチ 呼び出しを受ける』の"ジョジフ"は、
"ジョゼフ"になるだろうか。


     (F・W・クロフツ/井上勇 訳『山師タラント』
     創元推理文庫 1976年9版 J)

1月18日に続く~





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by byogakudo | 2019-01-15 15:23 | 読書ノート | Comments(0)


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