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猫額洞の日々

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2019年 02月 02日

小林信彦『大統領の晩餐(ばんさん)』読了

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 小林信彦は(ある時期からか?)コラムに必ず日付を入れる。
そうしないと書かれて数年で、どんな出来事に反応して書かれ
たか、その手がかりさえ失われるので。
 近ごろの事件や出来事の風化の速さといったら、どんな大事件
でも、もしかしたら、一年後には忘れられてしまいかねない。大量に
報道され、消費された報道量に比して、忘れ去られる速度も強まる
みたいだ。
 森茉莉『ドッキリチャンネル』でも、ナンシー関のTV批評でも、
日付と取り上げられた人々や出来事の脚注が、もはや必要な時代
である。

 しかし、小林信彦の小説『大統領の晩餐(ばんさん)』も将来、いや、
『ハヤカワ・ミステリ・マガジン』に連載され、1972年度傑作ベスト
テンに挙げられてから47年後の現在では、1972年・東京の風俗記録、
感受性の記録として読まれるのではないかしら?

 戦前や戦中の記憶が忘れられない人々が、ばりばりの現役(という
設定)で登場し、彼らの記憶に残る探偵小説の主人公たち(怪人二十面
相や明智探偵など)も平然と登場する、メタフィクショナル・どたばた・
ミステリは、1972年の空気をよく伝える資料としても、読めるのだ。

 二八(にっぱち)という不景気な名前をもつ落語家がフルートを吹く
少女に恋心を抱き、赤いバラを贈るシーンがある。バラだけでなく
言葉も添えたいが、

<彼の教養体系から生れてくる文句といえば、"どどいつぁ、野暮
 でも......とか、"おまえ、待ち待ち、蚊帳の外にて蚊に食われ......
  などと無学な文句ばかり。
  二八の夢みていたのは、たとえば、「私の方では友達になりたい
 としきりにねがっていたのだが、相手はほんの少し話をすることすら
 承知してくれなかった。その女(ひと)の持ちものが売りにでたので、
 私はそれをみんな買いとった」(プルースト「愉しみと日々」)といった、
 西欧的かつ詩的な言葉の群れであった。>
(p228『第十五章 Red Roses for A Blue Lady』)

 このフルートを吹く少女は、日本人の男と、カンサスで出会った白人
女性とのあいだに生まれ、ミス・ストリートという姓をもつ。
 登場人物のひとりが口走る。

< 「......ミス・ストリート......通り......お通(つう)さん......横笛__
 デキすぎているな」>(199『第十三章 料理の道』)
__こんな風に、文芸趣味満載の風俗記録なのである。 

 
    (小林信彦『大統領の晩餐(ばんさん)』 角川文庫1984年11版 J)





サイコパスども__
滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・
夷蛮禍/

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by byogakudo | 2019-02-02 22:16 | 読書ノート | Comments(0)


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