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猫額洞の日々

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2019年 02月 18日

エリック・アンブラー/北村太郎 訳『あるスパイの墓碑銘』読了

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 『ディミトリオスの棺』より楽しいと思いながら読んでいたが、
ディミトリオスの話も、もはや、うろ覚えなので、どうだか。
 まあ、ディミトリオスより物語性が強くて、小説の構造に目を
配るのではなく、ストーリー展開に乗って読んで行くタイプの
小説だ。

 グランド・ホテル形式の、巻きこまれ型スパイ小説(実際の
舞台はプチ・ホテルだけれど)。

 ナチズムとファシズムがヨーロッパを占領するちょっと前、
戦争の気配は立ち籠めているが、まだ実体化していない夏、
南仏の小さなホテルに主人公が投宿する。

 彼は無国籍だ。1919年のトリアノン条約でユーゴ領になった
ハンガリーの町で生まれる。1921年、ブダペスト大学に入学した
ので、ハンガリー人であるのにユーゴスラヴィアのパスポートを
取得。
 だが、彼が大学生だったとき、父と兄(ふたりは急進的な社会
主義者)がユーゴの警官に射殺された。彼の母は第一次大戦中に
病死、彼は天涯孤独の身である。
 もうユーゴへ帰らない方がいいと忠告され、1922年、イギリスへ
渡る。1931年まで、ロンドン近郊でドイツ語を教えていたが、同年、
就労許可証が取り上げられる。多数の外国人の就労許可証が取り上げ
られた年である。
 パスポートの有効期限も満期なので、ロンドンのユーゴスラヴィア
公使館に再発行を申請するが、もうユーゴの市民権がない、という
理由で却下。イギリスへの帰化願いも、就労許可証がないので(!)
認められず、ヨーロッパ大陸に仕事を探しに出る。
 パリ警察は居住を認めたが、いったんフランスから出国したら、再
入国は認められない。1930年代後半、この物語の最中の彼は、フラ
ンスの市民権を申請し続けている、というシチュエーションだ。
(pp20-21上下段『第二章 尋問』)

 なお、彼のパリでの仕事は、語学教師。ドイツ語、英語、イタリア語、
ハンガリー語を教える。
(p22上段『第二章 尋問』)

 彼の趣味は写真。カメラはツァイス、コンタックス。倹約してやっと
手に入れたカメラ、休まずに仕事を続けてやっと取った休暇である。
 町の薬屋に現像を頼んだら、軍事機密が映っていたので取調べを受け、
彼はスパイを捕まえるための囮に使われる。
(pp23-28上下段『第二章 尋問』)

 種村季弘『詐欺師の楽園』に出てきてもおかしくないような人物が、
主人公。当時のヨーロッパの不安定さを体現しているような主人公
である。

 レゼルヴ(!)・ホテルに泊まっている人々、それぞれが当時の状況を
表す。ヨーロッパ各国出身者とイギリス人は戦争の影が濃く、アメリカ人
の兄妹は暢気なのが、まさに大状況を写す小状況である。
 第二次大戦・直前史みたような小説だった。


     (エリック・アンブラー/北村太郎 訳『あるスパイの墓碑銘』
     HPB 1972再 VJ)





 新しい天皇の即位直後に、トランプが国賓として植民地・日本に
やって来るんですって。天皇の政治利用というのではなくて?
 トランプをノーベル平和賞に推薦するだけでも、噴飯ものの国辱
政治屋だが、安倍晋三は、どこまでトランプの靴を舐め続けるの
だろう。
 なぜ、こんな国辱男を支持する人々が、40%強、いるのだろう。


サイコパスども__
滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・
夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

 上記のPDF





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by byogakudo | 2019-02-18 21:41 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by saheizi-inokori at 2019-02-18 22:10
私は指示していない、知らない。
要するにバカ殿をまわりがなんとか持ち上げているのでしょうが、さすがに重くなってきたようです。
Commented by byogakudo at 2019-02-18 23:11
安倍晋三の周囲の、せめて役人たちだけでもボイコット
に走れば、安倍晋三は地に叩き付けられるでしょうに。


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