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猫額洞の日々

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2020年 02月 08日

(0)鈴木創士『離人小説集』(幻戯書房)

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 大昔、わたしがまだ若い女だったころのある冬の夜、
いつものように新宿トップスに入っていった。人いきれの
する店内に森山画伯の姿がある。画伯は眠りかけていて、
隣に見知らぬ青年が坐っていた。
 一目で(酔いの眼であっても)「ひどいラリパー」と見えた
青年は、二目見ることで、繊細な美青年であることを証明した。
 ある日、青年から原稿を見せてもらった。冬の宵、枯れ枝に
黒い鴉が止まっているイメージが残る文章だった。"舗石の下は
浜辺"という言葉を初めて目にしたときでもある。

 長い時間が経ち__長かったのだろうか? 数秒だったようにも
思えるが__、ひとびとはそれぞれに時の支配下にあり、地上での
時間があまり残っていないと実感するころ、鈴木創士『離人小説集』
(幻戯書房)が刊行された。

 グラシン紙で覆いつくす前にジャケットを外して、本を見る。
 ほっそりと硬い表紙の隅に道化師の衣装の少女、背表紙のタイトル
や著者名は紙の色と差異が小さい。そのかわり、ジャケットと帯には
思いっきり、蛍光色のピンク、そしてモノクロームの少女の横顔。

 薄いココア色の見返しを繰ると、透けた紙に蛍光ピンクで描かれた
"扉(その一)"。Pという文字と箱が描かれているのは、パンドラのPで
あろう。"扉(その一)"の影にあたる"扉(その二)"は、モノクロームで
文字だけ。
[2月19日追記:PはペソアのPだった。失礼しました。]

 (天地創造に因むのだろうか?!)七つの小説が収められ、各章の
始まりには、それぞれタイトル文字と挿画がある。

 挿画:二階堂はな/装幀:納屋衣美。

 瀟洒で凛としていて、古風なモダーニスムの感じられる本だ(まだ
本文は目にしていない)。
 昔、どこの家にもあった、木の本箱を思い出す。両開きのガラス扉つきで
中は三段くらい。ガラス扉の内側には、シャーリングされた薄いグリーンや
ブルーの布がカーテンみたいに下がり、部屋の中に、本のための部屋がある
ような趣きだった。

 鈴木創士『離人小説集』も、本による本の趣きである。全七篇は__

・既視/芥川龍之介と内田百間

・丘の上の義足/アルチュール・ランボー

・ガス灯ソナタ/稲垣足穂

・無人の劇場/フェルナンド・ペソア

・アデマの冬/原一馬

・風の狂馬/アントナン・アルトー

・天空の井戸/小野篁
 
 ちょっとむかし、Sの写真集のために"sky well"というタイトルを
考えたことがあった。こういう偶然はうれしい。


     (鈴木創士『離人小説集』 幻戯書房
     2020年2月22日第1刷 帯 J)

2月17日に続く~





"日本人、報仇・安倍晋三"
"今天不抗争、明天何来有未来?
(きょう闘わないで、明日に未来はあるのか)"

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サイコパスども__
滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・
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by byogakudo | 2020-02-08 21:16 | 読書ノート | Comments(0)


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