2020年 08月 07日
~8月3日より続く モンマルトルのやくざ界はコルシカ人の支配下にあったが、 ことに第二次大戦後、植民地から北アフリカ人(アラブ人)が 大挙してやって来るようになると争いが起きる。 さらにはピエ・ノワールと総称される北アフリカ出身の白人 たち__ユダヤ人やその他の白人たち__も加わり、抗争が複雑 になる。 東は東である東洋人にとって、ユダヤ人とその他の白人たち との関係は、結局分からないのではないか。少なくとも、わたし の場合、理解不能だ。 人種的偏見はいつでもどこでも存在するけれど、ルイ・シュヴァ リエが北アフリカ人(アラブ人)やピエ・ノワールなユダヤ人を記述 する筆致には、フランス人の大多数が持っている(ように東洋人には 感じられる)人種偏見が、どうもうっすら感じられる。東洋人なので 意識しすぎるのかもしれないが。 差別感覚といえば、コルシカ人やくざの項で、 <実際、女たちを支配する素早く、露骨で、乱暴な彼らのやり方は、 今日なら"男性優位主義"(もちろん悪い意味で)とでも呼ばれる に違いない。ありがたいことに、戦前であろうと戦後であろうと、 ピガールの女たちは"男性優位主義"などという言葉を私同様聞いた ことはなかった。仮に聞いたとしても、彼女たちはそれを何か淫らな セックスのやり方を意味する隠語だと思っただろう。> (p208『第二部 再会』の『第二章 明かりのモンマルトル__ピガール』) __という書きっぷりなど、大多数の普通、一般のフランス人の理解の 仕方ではないか? 芸能界でのセクシュアル・ハラスメント問題で、カトリーヌ・ドヌーヴ が見当違いな発言をして訂正したり、ブリジット・バルドーが「だって、 役をもらうために女のほうから持ちかけてたじゃない?」と、さらにズレ たりしていたが(ロジェ・ヴァディムとつき合ったフランスの女優たちは 頭が悪くなるのだろうか、頭がよくないからつき合ってたのか? だが、 ジェーン・フォンダなら、もっと賢く、可愛げなくコメントしただろう)、 これらの受け止め方のほうが、やはり今でも一般的なのではないかと 思うが。 <1953年を境としてもっとも大きな変化が現れ、[略]これによって ピガールの夜もまた変わらざるを得なかった。古くからの暴力に、 別の種類の暴力が加わる。すでに以前からピガール方面に侵攻しよう と、虎視眈々と機会をうかがっていた北アフリカ人のひもたちは、資金 調達を狙うFLN(アルジェリア民族解放戦線)の指令を受け、いよいよ 攻勢に転じた。ピガールの売春婦たちも(パリジェンヌであれ、ノル マンディーあるいはブルターニュ生まれの女であれ)、ラ・シャペルの 女と同じように、戦争協力を要請された。すでにアルジェリア人のひも の監督下にある女たちは、喜んでそれに従い、熱烈なる愛国心の実を 示した。[略]彼女らのひとりは、おそらくは[注:アルジェリアでなく] グット=ドールで発行されたのであろうが、アルジェリア名誉市民の 証書を受けたほどである。おまけにこの女は、あつかましくも、仲間に 会うたびにこの証書を見せびらかすようなことまでしたものだから、 仲間たちはそれをさんざんにからかって__「売女のアルジェリア女め」 __このとんでもないニュースをあちこちで言い触らすのだった。> (pp236-237『第二部 再会』の『第二章 明かりのモンマルトル__ ピガール』) __ルイ・シュヴァリエは1911年生まれなので、いまのフランス人の 感受性とは、たぶん、大きく違っているのだろうが、フランス人の基本 感情には、こういう感受性が続いているのではないかと、疑ってしまう。 これは東からの人種偏見か。 (ルイ・シュヴァリエ/大島利治・武藤剛史・鹿島茂・塩川浩子 訳 『落日のモンマルトル 上』 ちくま学芸文庫 1999初 帯 J) (1)ルイ・シュヴァリエ/大島利治 他訳『落日のモンマルトル 上』 (2)ルイ・シュヴァリエ/大島利治 他訳『落日のモンマルトル 上』 (3)ルイ・シュヴァリエ/大島利治 他訳『落日のモンマルトル 上』 8月17日へ続く~ "日本人、報仇・安倍晋三" "今天不抗争、明天何来有未来? (きょう闘わないで、明日に未来はあるのか)" #人間やめますか、自公維+国民民主+N国に投票し続けますか? サイコパスども__ 滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・ 夷蛮禍/ 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)+東京都の 安保関連法(戦争法)に賛成した議員名 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る 「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動 上記のPDF
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by byogakudo
| 2020-08-07 18:58
| 読書ノート
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