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猫額洞の日々

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2021年 11月 29日

(15)Anna kavan "I am Lazarus"読了

(15)Anna kavan \"I am Lazarus\"読了_e0030187_22435336.jpg



















 写真は、南台とか方南町とか、あの辺り。


 最後の一篇"OUR CITY"の背景は、ロンドンであろうが、時代はいつ頃の
設定だろう? 異国の兵士たちが大手を振って歩いていたりするので、第二次
大戦後だろうか? ストーリーとしてはAnna kavanの変わらない基調音、疎外
と迫害である。

 冒頭に掲げられた、<わたしは信じて来たし、今でもそう信じているが、わたし
たちの街は、天から降る炎と硫黄につつまれて終わるだろう。>(p123)という
呪詛に満ちたエピグラフは、彼女の実感だろう。Anna Kavan個人が具体的にどう
迫害されて来たかではなく、彼女が自分の人生をどう受け止めて来たか、である。

 "OUR CITY"の特徴とされるのは残酷さだと彼女はいい、実例をあげて行くが、
かなり彼女の感受性のバイアスがかかっている実例である。
 夜中の2:30を過ぎると夜光塗料の塗られたトラヴェル・クロックが鳴り出し、
窓が黒く遮蔽されたままの室内を、空襲の記憶で満たす。彼女は機関銃の音や、
逃げ惑う人々の阿鼻叫喚が近づいてくるのを聞くのだ、戦時中と同じように。
 いつ追放措置が取られるか(あるいは隔離措置が取られるのか?)、不安定な状況
にある彼女は役所に出頭するが、いきなり、個人的な持ち物を担保として預けるよう
言い渡される。よりによって、大事に持ち続けて来た本を(!)を奪い取られてしまう
のは、象徴的な表現であろうが、役所に詰めかける大勢の子どもを含む人々の描写は、
リアリスティックだ___

<Although I'm not particularly fond of children I couldn't help pitying the poor
 little things, growing up in the vile atmosphere all these rooms have, impreg
 nated with fear and suspense. [略]But the children themselves paid no atten
 tion to their environment. [略]A boy [略]had climbed on the window-sill; he had
 got his paper-white forehead pressed to the pain, and was gazing out at the
 sky as if saying good-bye to it.>(p143)

___これは2021年現在の日本の入管での光景を描いた、といってもおかしくないだろう。
時と所が違っていようが、普遍性をもつ孤独であり、疎外感だ。


     (Anna Kavan "I Am Lazarus"
     Peter Owen Modern Classic edition 2013)

 持っているAnna Kavanを再読したら、1回目より確実に"わかる"と思うが、この本は、
ちょっと躊躇う。フォントが小さすぎて、疲れてしまった。新たに何か一冊、手に入れる
ことも考えている(懲りない奴)。





サイコパスども__呪・滅亡 酢加与死日照/滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子





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by byogakudo | 2021-11-29 21:56 | Anna Kavan | Comments(0)


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