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猫額洞の日々

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2022年 01月 23日

(2)戸板康二『あの人この人 昭和人物誌』もうすぐ読了

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 写真は2021年12月21日の湯島で。


 『小泉喜美子の博識』より___

< 私は昭和60[注:1985]年の晩秋、中国へ行った。じつは、小泉さんが
 事故で入院したのは、私が東京を離れる前だったらしいが、何も知らずに
 出発したのだ。[略]椿事(ちんじ)を知っていた人もいたのだが、私の旅の
 日程がわかっていたために、私には告げなかったと、後日聞いた。
  小泉さんが新宿の酒場の階段から足をすべらせて落ちたというのは、昼間
 男の友達から電話があり、「飲もう」と誘われたので快諾した日である。
 どうも私の想像では、その時、もう酔っていたと思われる。
  そのころ思い悩んでいた小泉さんは、酒で気を紛らわせるのだが、ひとり
 でマンションにいても一向にたのしまない。「猫を抱いて窓から飛びおりて
 しまおうか」と口走ったりしていたようだ。
  電話がかかったので、すぐ外出する気になり、立ち上ったが、魔がさした
 としか思われない。サンダルを履いてしまった。
  サンダルという履き物は、平面でも歩きにくい。[略]酔っていたとすれば、
 なお危なっかしいはずである。
  それが転落の原因だと考えるほかない。[略]
  帰国した翌朝、やっと私が[注:小泉喜美子の両親からの]電話を受けたが、
 その瞬間のショックは、今だに忘れることができない。居ても立ってもいら
 れぬような思いであった。
  [略]
  小泉さんを誘った男性が誰であるかを、私はついに知らない。しかし、どう
 したわけか、その人は、弔問にも、会葬にも現れなかったというのである。行き
 にくかったといえばそれまでだが、それからずっと、その人は十字架を背負って
 いなければならないだろう。>(pp69-70)

 どうしても事故を呼び寄せてしまう時がある。それはまず避けようがない。識閾
下の死に呼ばれ、逃げられなかったのだろう。
 誘った男友達は意図せずして、死のメッセンジャーになってしまったのであるが、
せめて四十九日にでも、ひとりで彼女の両親宅を訪れていてくれたらよかったのにと、
わたしも思う。つらいけれど、けじめは、つけなければ。


     (戸板康二『あの人この人 昭和人物誌』 文春文庫 1996初 帯 J)

 
 今日の東京都の新型コロナウイルス新規感染者数、9468人。





サイコパスども__呪・滅亡 既視駄腐身牡/滅亡 酢加与死日照/滅亡 亜屁沈臓/
滅亡 汚池腐裏子/滅亡 吐爛腐・夷蛮禍/





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by byogakudo | 2022-01-23 20:41 | 読書ノート | Comments(0)


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