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猫額洞の日々

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2006年 04月 20日

「わが懐旧的探偵作家論」から「南の風」へ

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 ずっとレジ脇に置かれたままだった「わが懐旧的探偵作家論」(山村正夫 幻影城
76初函帯)読み残しを、閑な一日 どうやら終わる。
 やっぱり あんまりブリリアントな文体ではないが、島田一男が猫好きだった話を
知る。ねこ新聞にお知らせすべきか? でも、とうにご存知かも知れないし。

 大して面白いエピソードという訳ではない。子供がいないせいもあって十数匹の
猫を飼っているとか、動物好きの噂を知った近所の人が、夜の内に猫を捨てにくるが
島田一男は全部拾って育てるので大所帯になった等、木村荘八にも大佛次郎にも
共通するエピソードなので、お知らせする価値があるものやら迷う。島田一男自身が
何か猫に関する話を書いているなら別であるが、わたしは知らないし。

 探偵小説家では他に、新章文子、石沢栄太郎、香山滋が猫好きであったらしい。

 店を閉める時刻に読み終えてしまい、慌てて棚を物色する。何となく、未読の
「南の風」(獅子文六 角川文庫 55年8刷帯 記名)になるが、舞台がシンガポールから
東京、鹿児島と移る。南方指向も針葉樹林愛も欠けているので、戦前の東京か横浜が
舞台だったら嬉しかったのに、でなければパリか。

 最近入った「現代国民文学全集 第27巻 現代推理小説集」はラインナップが
好みに合っていて素敵だが(谷崎「途上」、佐藤春夫「指紋」あたりから水谷準
「カナカナ姫」、十蘭「湖畔」、風太郎「黒衣の聖母」、大坪砂男「天狗」、永瀬三吾
「軍鶏」、日影丈吉「爆発」等と連なる)ハードカヴァ三段組を寝床で読む元気が
さすがにない。おとなしく「南の風」を読み進めるしかない。

by byogakudo | 2006-04-20 14:04 | 読書ノート | Comments(0)


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