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猫額洞の日々

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2025年 01月 26日

(2)梅崎春生『十一郎会事件』読了

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 今日の写真は、新井~野方あたりで。この辺の住宅地にはまだ時々、
木造やモルタル造の戸建やアパートがある。あやういけれど、まだ
ほうっておかれてる家屋や空地が見られる。


 "梅崎春生ミステリ短篇集"とサブタイトルされてるように、ミステリ
から、どっちかといえば"奇妙な味"寄りの短篇が収められている。

 大きな分類『I』の二番目、『小さな町にて』など、シムノンみた
ような雰囲気だ。
 夜汽車から霧につつまれた小さな駅に降りる男、彼の正体が少しずつ
明らかになり、時間は戦後のいなか町から遡り、生死を突きつけられる
戦時下のできごとへ、再び夜霧の中を東京に向かう列車に戻る。苛烈な
戦争を生き延びた男の視点だけだったらストーリーが縮こまるが、偶然、
列車で一緒になった若い男(アプレゲール)が小さな町に同行するので、
その分、時空間が広がる。
 夜霧と、長く伸びる(おそらく単線の)レールに縁取られた作品。

 『飢えの季節』は飢餓という生きるか死ぬかの重大なテーマをコミカル
な口調で語り続けたが、『II』はそういった感じのものを集めて。表題作の
十一郎会事件』は、シャーロック・ホームズ調だ。
 "十一郎"という名前は、梅崎春生の好みなのか? 『小さな町にて』の
若い男も十一郎と名付けられていたが。

 『III』の実録もの、『不思議な男』はほんとに不思議な男の話だ。実話・
実録というジャンルは、だいたい退屈に陥りやすい(内容に寄りかかり過ぎ
て、語り口が単調になりがちだ)けれど、これだって、そんなに凝った文体
どころか、さらっと書いてあるけれど、作家志望で梅崎春生に原稿を持ち
込んだ根本茂男こと松平茂男は、徳川慶喜の曾孫を自称したいがために、

<松平さんと知り合い「小説を書くので松平姓を名乗りたいが入籍させてくれ」
 と頼みこみ、松平家に養子縁組してもぐりこんだのち中野に分籍した>(p319)
"不思議な男"だ。承諾した松平氏は、どう丸め込まれたのかしら?

 まあ病的な度合いが強い詐欺師だが、根本茂男の書いた小説『柾它希まさたけ家の
人々』は、梅崎春生の紹介により、実際に「近代文学」誌で連載された。単行本にも
なっている。
 そして梅崎春生は彼をモデルにした小説『つむじ風』を東京新聞に連載し、映画化
もされているのですね。

 同じ中公文庫から梅崎春生『怠惰の美学』『ボロ家の春秋』『カロや 愛猫
作品集』と出ているので、これらも買って読みそう...。


     (梅崎春生『十一郎会事件』中公文庫 2024初 帯 J)

(2)梅崎春生『十一郎会事件』




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by byogakudo | 2025-01-26 22:02 | 読書ノート | Comments(0)


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