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猫額洞の日々

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2025年 12月 09日

川本三郎『成瀬巳喜男 映画の面影』読了

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 『あとがき』から引くと___

< 成瀬巳喜男の映画を好んで見るようになったのは1980年代のなかば、
 40歳をすぎてからだった。[略]
 日本映画の巨匠のなかでは黒澤明は大仰すぎた。小津安二郎は立派
 すぎる。溝口健二は女性の描き方に抵抗があった。木下恵介は好きな
 作品とそうではない作品の落差が大きかった。
  地味で静逸な成瀬の世界がいちばんしっくりいった。[略]

  成瀬映画をよく見るようになった1980年代なかばの日本の社会は、
 いわゆるバブル経済期で、世の中が異様に派手になり、騒がしくなった。
 そんな時代に違和感を覚えるようになった時、成瀬の映画に浸ることは
 ささやかな慰藉であり、救いになった。
 [略]
  その頃から、消えてしまう風景を心にとどめようと意識して東京の町を
 歩くようになった。永井荷風を熱心に読むようになり、荷風が歩いた下町
 を歩いてみるようになったのも同じ時期のことだった。>(pp215-216)

___そういう姿勢で書かれた、成瀬巳喜男・映画の世界である。キーワードは
"貧乏"。

< 以前、淀川長治さんと[略]話をした時、「成瀬巳喜男はお好きですか」と
聞くと、即座にこう言われたのをよく憶えている。
 「いやよ、あんな貧乏くさい監督」
 無論、笑いながらではあったが、成瀬巳喜男の特色をよく言い得ていると
思った。[略]私はと言えば、その貧乏くささが好きなのだ。>
(p9『1「貧乏くさい監督』』)

< 恋愛映画に金の話を持ちこむ。その結果、メロドラマが抑制される。
 感傷や過剰な感情が冷却される。落着きが出てくる。金の効用である。
 一般に成瀬映画は女性が主人公であることが多く、そのために女性映画
 と呼ばれる。しかしそれは決してメロドラマではない。>
(p58『3 金をめぐる物語』)
 「浮雲」でダメ男No.1 を演じる森雅之は、妻の葬式代がなくて、くされ縁
の女、高峰秀子に借金に行く!___これのどこがメロドラマ?!

 ここも引用しておきたい___

<映画界の第一線にいる監督が戦時中に戦争映画を作らなかった。このこと
 は特記していい。貧乏の好きな成瀬は、勇ましいもの、武張ったものが嫌い
 なのである。このあたり、永井荷風に似ている。荷風と言えば、[略]成瀬は
 昭和24[注:1949]年に、荷風が戦時下に書いた「浮沈うきしずみ」を映画化する
 企画を持っていたという。実現はしなかったが荷風を意識していたことになる。>
(p18『1「貧乏くさい監督』』)

___これこそ、撮ってもらいたかった、小さな物語である。


     (川本三郎『成瀬巳喜男 映画の面影』 新潮選書 2014初 帯 J)




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by byogakudo | 2025-12-09 22:06 | 読書ノート | Comments(0)


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