昨日それとも一昨夜?、それすら思い出せないが、合間に「天才伝説 横山やすし」
(小林信彦 文春文庫 01初)を外のワゴンから取出し、読了していた。
状態が悪いので表出ししたが、読んでよかった。「唐獅子株式会社」映画化の
件で、最初の話からずぶずぶと退行して行く様態が、よくわかる。お金をかけるべき
ところに(この場合でいえば脚本料に)投資しない、小説執筆に忙しい小説家が
プロデューサー的役回りを引き受けざるを得なくなる、そのうち状況はますます
悪化して見切り発車。面白くなる筈のキャスティングであっても、映画はそれだけでは
成立しない・・・。哀しい展開だがそれなりに納得してしまう。すべての日本映画が
こんなに誰彼の献身的活動に支えられてしか製作されないのか、それとも映画製作は
いつでも、そんなものなのか? 映画は、出版や本屋と同じようにビジネスのみでは
成り難い性質を持っているから。
肺癌の不安に怯える名無しの探偵と平行して「スロー・バード」(イアン・ワトスン
ハヤカワ文庫 90初帯)を読み始める。