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昨日、英米人が封筒にノートすると書いたが、後半、フェン自身が
メモする場面が出てきた。
p236< ポケットからよれよれの紙を数枚取り出すと、べつのポケットから
ちびた鉛筆を取りだした。>
ここでも手帳ではない。英米人が手帳を持ち歩かないとは思えないのだが。
翻訳者(滝口達也)はカタカナ語原音表記主義者らしい。例をあげれば、
p32: 「車室」にルビが振ってあるが、「コムパートメント」とM・Nの
表記を違える。
p38: 「カーネイション」と、二重母音の長母音表記を避ける。
p68の「ハリイ・ジェイムズ」も同じく。
そもそも主人公のフェン教授からして、「ジャーヴィス」にあらず、
「ジャーヴァス」・フェンである。
慣れの問題であるから原音表記でかまわないと思うが、吉田健一訳で
「チャールズ」ではなく「チャールス」と書かれていると、それはそれで
優しくうつくしい響きを感じる。
(エドマンド・クリスピン 国書刊行会 04初帯)