2007年 02月 20日
(写真はクリックすると拡大します。) 先週、TV東京で午後の映画時間帯に放映された「東京の休日」。録画された お客さまがいらして、ヴィデオを貸して下さった。 「李香蘭(山口淑子)賛江」と立て看板されそうなスター映画だが、当時の 東宝スターたちの賛助出演の豪華なこと。みんなエキストラ並の出演分数で 顔を見せている。 いちばん嬉しかったのが、遂に動いている画面で安西郷子を見られたことだ。 雑誌やムックの写真でしか見たことがなく、美人だなあと思っていたが、動きも 美しかった。 画面の左から右手前に白いパーティードレスで横切るだけのシーンだが、 素敵だ。まるまる1本出演している映画を見てみたいものだ。演技の巧拙、映画の できなぞ、この際問わない。 映画は歌あり踊りありのミュージカル調エンタテインメント。でも87分ほどの 時間内で、きっちり脚本が書かれている。 アメリカで成功したファッションデザイナが李香蘭、彼女たち日系米人の? 観光ツアー客が飛行機で東京の休日を過ごしにやってくる。 その飛行機内でも日系人が(第2次大戦の)「勝ち組」「負け組」二手に分かれて 言い争う光景があったり、「三千ダラ払ったんやさかい」などの台詞も出てくる。 1ドルが360円の時代、日本が外国人観光客の落とす外貨を獲得しようと躍起に なっていた時代である。 彼らが泊るホテルのセットもなかなか。朱赤の欄干みたいな手すりの階段とか、 寺院建築めいたバー、エキゾチック・ジャパンを売り物にしたホテルという設定。 李香蘭は戦時中、両親とともに日系人強制収容所に入れられていたが、戦後 両親を亡くし、そのお墓を故郷に建てるための来日である。ところが彼女の名声を 使って一旗揚ようという連中ばかりが集まって、てんやわんやの合同ファッション ショウが開かれる。(ショウの始まりの挨拶は原節子。ファッション界のトップ である。) 利用されただけのお里帰りであっても心優しい李香蘭は、ショウがあまり利益を 上げず、みなさんお気の毒だはと、自費でお別れパーティを開く。 そのパーティー客のひとりが安西郷子。 エンディングは始まりと同じ飛行機の中。なつかしい筈の愛する日本は一体 何だったのかなという思い入れの表情とともに、李香蘭が小さく窓辺に手を振り 「さようなら、日本」と終わる。 むかしの娯楽映画は盛り沢山だが、きちんと短い時間で伝えたいことは伝える 脚本でできていたと、確認した。 (58年 東宝 山本嘉次郎:監督)
by byogakudo
| 2007-02-20 14:33
| 映画
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