2007年 04月 01日
![]() (写真はクリックすると拡大します。) お、お師匠さんたらっ・・・す、すごい! 資料に負けてると言われた本と、何もコメントされなかった本と、 どちらにしようかと迷って早く読めそうなノー・コメント本にしたが、 いやあ、すごかった。 若い作家をケナしてばかりじゃ生産的ではないと、殊勝にも思う。 どこか1点でも評価すべき箇所を見つけたら、そこをまず紹介しようと 思っていたのだが、発見できなかった。 冒頭3頁目でメゲる。<青いワイシャツと、白いワイシャツ。> 「Yシャツ」でないだけ許そうか、いやしかし、続く会話にやたらと 一人称が出てくる。 <<・・・いや、俺は知らない> <・・・俺がこれからする話を、よく聞いて欲しい>>__こんな 会話、アリだろうか。 これも又なにか効果を考えてのことか、他の登場人物たちの会話との 差異化を図ってだろうかと好意的解釈を試みたが、なんの効果も 発揮していなかった。 以下、ストーリーが展開すれば、それで小説になる(らしい)、 いかにも近ごろの若手作家らしい物語が繰り広げられ、 ばーさんセンサーにいちいち抵触する。詳しくは述べない。上記の例で 想像してください。 帯の惹句もすごい。 <・・・どれだけ眉に唾を付けて読んでいただいても、著者の企みを 100パーセント見抜くのは不可能でしょう。・・・さらに、トリックが テーマと分かちがたく結びついていることに感嘆して下さい。・・・> ここまで言うか。本気にする方が悪いけれど、「六尺の大いたち」なら 笑えても、これは誇大広告の類いだ。べつにミステリ・マニアでなくても 予想できる範囲のアイディアであり展開である。どこを取って「トリックが テーマと分かちがたく」結びつくのか、教えてもらいたい。 読み出す前に奥付を覗いたら、右頁に<初出 「新潮ケータイ文庫」 二○○六年三月二十日〜九月十三日配信>とあり、期待してはいけないと 心構えはしていたが、聞きしに勝る恐ろしさだった。 こんなもの書くな、出すな、ここまでレヴェルダウンしなければ本が 売れないというなら、小説なんて読まれなくていい。エンディングでは 例の「となり町戦争」続編にも似た、肯定的メッセージが 語られている。やれやれ。 ひとつ提案がある。漫画に原作者つきの漫画があるように、小説も原案者と それを書く小説家に役割分担させたらどうだろうか。ケータイ画面で読むときと 紙面で読む場合とを区別して書ける小説家が必要であろう、もしケータイ 小説の試みを続けたいと言うのであれば。 (道尾秀介 新潮社 07初帯)
by byogakudo
| 2007-04-01 13:35
| 読書ノート
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