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「読めるよ」とお師匠さんご推薦の「吉原手引草」(松井今朝子 幻冬舎
07初帯)に取りかかる。
著者略歴を見ると歌舞伎関係者である。安心して、江戸は吉原の引手
茶屋の内儀や、妓楼の牛太郎のモノローグを読む。作者の身についていない
喋り言葉を読むのは、はらはらしなきゃいけなくって、困る。
吉原案内を兼ねたミステリであるようだ。吉原一を謳われた花魁がある日
忽然と姿を消す。花魁についての情報を求めて、読者にもまだ明かされない
謎の探求者が、各関係者に訊ね回り、各人が各様に物語る。
吉原の妓楼に登るには、まず引手茶屋の手を借りるので、最初のインタ
ヴュイーが茶屋の内儀。そこでの質問がうまく捗らなくなり、次は素見客
(ひやかし)の顔をして牛太郎に質問と、少しずつ吉原内部に円を描いて入って
行く、という構成であろう。
その内、謎のインタヴュアーも花魁失踪の謎も判明するから、読者は実録?
吉原レポートとして愉しんで読めばいい。
はらはらしないですむ日本語ってだけで、もう充分と思うようになるのも
問題だけれど。