猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2007年 05月 13日

森茉莉付近(7)/「人生エンマ帳」の続き

e0030187_13595881.jpg










 (写真はクリックすると拡大します。)

 小野佐世男の話が出て来るのは『怪談』という章。ホラ吹きで有名
だから、真偽のほどは解らない。

< 初めに佐世男という名が普通でないと思って訊いてみたら、こうだった。
 小野君の生まれた日に水兵が大勢家の前の往来を通った。どこの水兵
 だろうとお父さんが尋ねたら、誰かが佐世保の水兵ですと答えた。>(p80)

< (中略)一家は牛込の喜久井町に移った。(中略)小野君と姉さんは二階の
 部屋を一つずつ占領した。(中略)ある晩一眠りしてから目が覚めると、
 足の方が何だか重いと思った。(中略)重味が膝のあたりまで上がって来て、
 ついで胸を圧する。息苦しくなって目を開いたら、白髪のお婆さんが
 恐ろしい形相をして、のしかかっている。頭から水がしたたり落ちる。
 小野君はキャッと叫んで押しのけた。同時に姉さんの部屋から声が
 聞こえた。(中略)
  「佐世ちゃん、お婆さん見た?」>(p81)

 若き日の森鴎外夫人のエピソードは『偶然の威力』にある。
佐々木邦は芝明舟町で育ったが、敗戦後のある日、弟とかつての住居を
探しに行ってみた。あるお家の前で
< (中略)井戸があったから、それを見つければそこだと乗り出した時、
 住んでいる人が出て来て、
  「あなた方は何をしていなさる?」>(p207)

 結局その家がそうだった訳だが、現在の住人からいろいろ話を聞く。
<役者の市村羽左衛門の家が近くにあること、その辺の地主だった荒木さん
 の令嬢が森鴎外先生の奥さんになったこと、(中略)。荒木さんの令嬢は
 二人とも美人で、シー(繁)ちゃんという姉さんがそれだった。シーちゃん
 とハーちゃんは、まだ赤ちゃんだった私の三弟をたびたび借りに来た。
 可愛がって、お人形代わりにするのだった。ある時粗相で額(ひたい)に少し
 傷をつけて、恐る恐る返しに来た。母は快く応対したが、私が憤(おこ)って、
 もう決して貸さないと断った。その弟が今は七十を越して、(中略)。鴎外
 夫人も(中略)羽左衛門丈もこの話のころはもう故人だった。>(p208)

 森茉莉関連の話はカテゴリ森茉莉に入れておこうと思うので、小野佐世男も
あるけれど、今日のタイトルはこうなった。   
     (佐々木邦 東都書房 63初函)

 美咲歌芽句のブログが更新されています。まだリンクできない。「お気に入り」
に入れてあげて下さい。 
[PR]

by byogakudo | 2007-05-13 14:00 | 森茉莉 | Comments(0)


<< 記憶の匣      「人生エンマ帳」読了 >>