2007年 05月 20日
(写真はクリックすると拡大します。) まったくもって筒井康隆ファンではなくて、初期の短篇はいくつか 読んでいるだろうが、社会風刺のアイディアだけ見える退屈なSF作家 という固定観念をずっと持っていた。その後SFというより前衛小説家 に変貌したのは知っていたが、だからって読みたくなる訳でもない。 ほとんど名のみ知るような存在であったが、昨夜「巨船ベラス・ レトラス」(文藝春秋 07初帯)を一気に読了。2:30amまでかかったので 今日はすこし目が痛い。 メタフィクショナルなエンタテインメントで、今日の日本文学と文壇 状況を描く、うまい小説家なのですね。面白かったけれど、ファンには ならない。たぶん体質がなにか合わない。 でも、出てくるのは作家か編集者ばかり、作家の書いている小説の 登場人物まで登場させ、最後には作者自身まで登場させる腕はすばらしい。 あるお金持ちの発行する同人誌「ベラス・レトラス」が巨船ベラス・ レトラス号に変容し、全登場人物が気がついたら乗船している趣向なぞ 無理がなくて、ほんとに巧い。 人工的で自己言及的な作品は大好きなはずなのに、なぜファンに ならないのか、なれないのか解らないが、肌合いの問題としか思えない。 面白かったんですよ。 「伊藤晴雨物語」の他にも読んでたけれど何だったっけ? 横尾忠則 「一米七○糎のブルース」(角川文庫 79初)だった。ウォーホル日記風の 退屈なおもしろさ。新書館からの元本は790頁の部厚い本だそうだが、 怖いもの見たさで読んでみたい。
by byogakudo
| 2007-05-20 13:16
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