猫額洞の日々

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2007年 09月 22日

森茉莉さんとお茶を 別冊(1)

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 (写真はクリックすると拡大します。)

 森茉莉に会ったことがあるという、お客さまからの聞書きである。
「書いて下さい」とお願いしたが断られて、その代り思い出したエピソード
を少し話していただけた。以下、文責はわたしです。


 いつ頃か思い出せない、お部屋も倉運荘か、フミハウスかその前の
アパートメントか不明であるが、真紅の薔薇の花束を「枯葉の寝床」
もどきにどっさり抱えてドアをたたいたら森茉莉さんが出て来る。
絣みたいなもんぺ姿であったという。
 「薔薇はいらないは。柿の葉っぱが欲しいの」と仰る。

 彼はまず花束を渡し、「ちょっと待ってて下さい。探して来ます」
それから世田谷の住宅街を、柿の木が見えるお宅のベルを片端から
鳴らして歩いた。どこでも親切に手ずから葉を切ってもらえて、その日の
うちに膨大な量の柿の葉っぱを森茉莉宅に届けることができた。

 当日かどうかわからないが、彼はお部屋で森茉莉特製のニュウメンを
食べたという。

 寝台にふたり並んで、だったかも憶えていない。森茉莉さんはベッドの
上で料理を始めた。まな板ではなくアルミかアルマイトの弁当箱の蓋では
ないかと思われる板の上で、肥後の守(か、ともかくごく小さなナイフ)で
人参や大根を5ミリ角に刻んで茹でたものを入れたニュウメンであった。

 室内は足の踏み場がない。入口からずっと、全種類?取っている新聞紙が
カーペットのように敷詰められている。新聞・郵便受けも開けられないので、
取り出してくれる女の子がいたという。(受け口が内側から開かないほど、
前に新聞等の山が積み重なっていた、ということであろうか。確認できな
かったので今度いらしたら又お聞きしよう。)

 「でもゴージャスな部屋でね、うらやましかったよ」
 「いい家具があったとか、いうことですか?」
 「そうじゃなくて、白石かずこが縫ってくれた(?)カーテンとか
クッションとかあってさ。すばらしい」


 次回があるかどうか不明であるが、「とにかく何でもいいから思い出して
下さい」と強要した。
 彼がいらしていた時、アーティストのM氏が現れ、お師匠さんも「追加本
だよ」といらっしゃる。元某バレエ団のエトアルでいらしたK夫人から
電話が入った。__店内に濃い時空間が出現する。古本屋というより特殊な
倶楽部を主宰しているような気が、しないでもない・・・。

 今週の新着欄です。よろしくお願いします。
 新着欄
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by byogakudo | 2007-09-22 16:13 | 森茉莉 | Comments(2)
Commented by hiromi suzuki at 2007-09-22 20:20 x
読んでてどきどきしましてしまいました。
猫額洞のひとを惹きつける力がうらやましいです。。。
また、あそびにうかがいます☆
Commented by byogakudo at 2007-09-25 13:17
お客さまを強請って聞き出す、不逞な古本屋なのです。


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