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猫額洞の日々

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2008年 04月 02日

「緑のダイヤ」読了

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~4月1日より続く

 店から持ち帰るのを忘れた! 夕食後「緑のダイヤ」を
取りに行く。外出しのワゴンや、今は乗り手不在のバイクも
運び入れられている夜の店内は侘しい。ちょこっとPCを
覗きたい誘惑に駆られる。こうやって本を読む時間は削られて
ゆくのだろう。

 「月長石」もそうだが、昔の(これは1904年作)ミステリの
佳さのひとつが控えめさだ。怪奇風味の中にもヒューマーを
忘れず、滑稽な人物と行動を挿み入れるやり方にしても、あくどく
やり過ぎない。
 ひどい吝嗇漢が出てきて、なんだか大勢でトーケー葡萄酒の
大瓶(「大瓶」を「マグナム」と呼ぶことを覚えた。)を探して
いるようだから彼も儲けようとするが、瓶にダイヤがあることに
気づかず、ただ差額で稼ごうと右往左往する様が、あっさり
描かれている。
 近年のミステリだと、これでもかとばかりにライトを当てて
しつこく書き込みそうである。そんなに強調しなくっても、
読者はちゃんと理解するのに、却って逆効果の場合が多い。
 まあ、わたしはノンストップ・アクション映画にあくびする
ような(緩急をつけず、ただアクションシーンばっかり続くと
単調になる。)古風な感受性なのだが。

 他の2扁、リチャード・ハーディング・デーヴィス「霧の夜」は
「千一夜物語」式。ロンドンのクラブで、議員を議会に出席させ
ないために、みんなで怪奇譚を話して足止めする。議員は扇情的な
通俗怪奇小説に目がない、という設定である。
[2019年5月20日にリチャード・ハーディング・デイヴィス
『「フランスのどこかで」』を読む
]

 マルセル・ベルジェ「ある殺人者の日記」。これは3篇中、
いちばん落ちる。ワン・アイディアだけで進めるには単純すぎる。

   (アーサ・モリスン他 世界大ロマン全集四巻 創元社 56初)

(1)アーサ・モリスン他『緑のダイヤ』
(2)アーサ・モリスン他『緑のダイヤ』


 プリースト「双生児」が買取で入ったし、女性のお客さまから
スタージョン短篇集もお借りした。うれしいな。







by byogakudo | 2008-04-02 12:34 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by hiromi suzuki at 2008-04-02 19:10 x
テキストとは関係ないコメント失礼いたします。

写真、かっこいいですね。
大きくプリントアウトして壁に飾りたい!
Commented by byogakudo at 2008-04-03 13:54
ありがとうございます。
僕にとって「もうひとつの空」はローカルです。
                St


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