グリーンの「エンタテインメント」と「ノヴェル」に、どんな
違いがあるのか。数冊読んだ限りでは、どちらもじりじりと
サスペンスフルで暗い話だし、区別する意味がわからない。
作者の中では何か基準があるのだろうか。
ヨーロッパの某国で革命側・労働者側についたインテリが主人公。
ちっとも英雄的でないのが人間らしくて魅力的だ。暴力にさらされると
すぐパニックが起きる。
敵である反革命側の貴族から、本来はこっち側の資質の人間だから、
革命成功の暁には辛いことになる。寝返らないかと誘われても、
それは承知の上で労働者サイドに在り続けようとする。
彼が肌身離さず身につける1枚の信書・紙切れだけが、彼の立場を
証明する。それを奪おうと、敵からも味方からさえも__内ゲバの
論理か__襲撃の手が絶えない。
絶対的な善でも悪でもありえない、サスペンデッドな人間そのもので
あるのが彼だ。すてき。
(HPB 54初)
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