2008年 06月 18日
シオドア・スタージョン「海を失った男」(河出文庫 08初帯)を 昨夜読み終える。 ゲシュタルト・シリーズと呼んでいいだろうか。相異なる複数 (二人以上)の人間がそれぞれ自立的に存在しながらも、同時に 融合するひとつの存在になりたい、と願う展開が多い短篇集だ。 長篇「人間以上」や「夢見る宝石」も、そういえばそんな物語で あったが、スタージョンがずっと考え続けて来たテーマなのだろう。 短篇集の編集偏度としては「輝く断片」が好みであるが、こちらの 魅力は、はずむ会話の愉しさだろうか。 おおげさな舞台装置なぞ要らない。ごくありきたりの人々が集まる バーで、むずかしい言葉を使わず、まじめに話し合う。たとえば 「成熟とはどんなことを意味するのだろうか」と。 あるいはボーイ・ミーツ・ガール物語かと思えば、クンダリーニ・ ヨガの話であったりする、どこへ連れて行かれるかわからない、 スタージョンらしいヘンさ。 いちばん好きだったのはタイトル作「海を失った男」。 この短篇集全部に惹かれたという訳ではない。「真善美」の中で 「美」よりも「真善」に重きが置かれているような感じが、どうも ストライクではなかったので。 でもスタージョン、もっと読もう!
by byogakudo
| 2008-06-18 14:02
| 読書ノート
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