人気ブログランキング | 話題のタグを見る

猫額洞の日々

byogakudo.exblog.jp
ブログトップ
2008年 07月 16日

森茉莉付近(22) 塩山芳明「出版業界最底辺日記」読了

森茉莉付近(22) 塩山芳明「出版業界最底辺日記」読了_e0030187_15425935.jpg








 通勤時間が往復4時間余り、とは言え、すごい読書量。たしかに1冊
だけでは、もし退屈だったりしたら困るから数冊持参する必要があるが、
それにしてもすごい。
 古本屋の数倍、忙しそうなエロ漫画編集をこなしつつ、仕事が早く
終われば事務所でも読書、帰りの電車でも読書。体力がうらやましい。
 こちらは閑疲れで、帰るとまずソファに横になる。そして読み出すから、
そこは同じなのか。

 ひたすら読み続ける態度がすてきで、森茉莉も読む。
< 帰りの上信電車で、『ベスト・オブ・ドッキリチャンネル』
 (森茉莉・ちくま文庫・本体718円)読了。嫌な女。團伊玖磨の
 俗物振りを罵倒するくだりがあるが、天にツバするたぁこの事。
 他人の親の七光りにゃ青筋立てて、自分にゃ大甘のベッタベタ。
 (永井荷風に原稿の持ち込みするくだり等)
  所々面白い描写もあるが、その"フランス馬鹿振り"の悪臭に
 耐える労力と秤にかけりゃ、鼻糞と漬け物石。ただ、人間はクズ
 でも面白い小説書く奴はいくらでも。買ってある『甘い蜜の部屋』 
 (ちくま文庫)も、そのうち読んでみるか。[略]>(p181)

 読み続けた結果は、
<『私の美の世界』(森茉莉・新潮文庫'84)に。この婆さんは顔と、
 『ドッキリチャンネル』のセンスが大嫌いだったが、冊数を重ねる度に
 好みに。[略]>(p281)

 1998年9月に嫌悪し、2002年11月には好きになる。とらわれない
態度で本を読むからだろう。

 p283(2003年1月)、女性漫画家が稿料が安いからと、手抜きした
絵を送ってくる。それを評して、
< ここらのセコさ、女性店主の古本屋の根付けを連想させるが[略]>
 笑った。

 「東京の暴れん坊」が読みたい。

 単行本『嫌われ者の記 エロ漫画業界凶悪編集者血闘ファイル』
(一水社 99年)と、同書刊行後連載分からのセレクションが、本書。
   (ちくま文庫 06再帯)

by byogakudo | 2008-07-16 15:43 | 森茉莉 | Comments(0)


<< 鈴木いづみとイタロ・カルヴィー...      雑司ヶ谷旧宣教師館 >>