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猫額洞の日々

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2005年 09月 09日

森茉莉さんとお茶を (1)

 受験前の夏期講習に来ているというのに、新潮社に電話して森茉莉の住所を
教えてもらった。
 
 地図を頼りに暑い下北沢の街をうろつき、やっとソウウン荘(字が思い出せない)に
たどり着く。ちょうどお部屋から出てこられたときで、お花を差上げると、すこし
慌てた様子でドアをしっかり閉め、水を張ったバケツに花をいれてから 邪宗門に
連れて行って下さった。
 
 彼女の小指に黄緑色のエナメルの蝶の指輪を見て、「あっ、あたしも同じもの
持ってます」なぞと口走った気がする。カナダドライのジンジャーエールは色しか
素敵じゃないとか、二幸(今のアルタ)や何かで売っているブルガリアの薔薇ジャム
(三角柱のガラス瓶に入っていた)は、あんまり薔薇の感じがしないとか、ガール
トークで、やや緊張していた若いファンを寛がせて下さる。

 ずっと書いている小説で まだ第一部しか「文芸」?に出してないのがあって、
「あんたが好きそうな、少女の出てくる」物語だと仰る。ピアノ教師の老人が少女に
執着するのよと、ストーリーを語られる。「甘い蜜の部屋」という題名は、その時は
聞かなかったと思う。

 話題は尽きることなく、あちこちに広がり、また収束し、彼女のエッセイさながら
である。すでに活字で読んだことのある話を直話で伺う 贅沢な時間だ。

 「で、あんた 受験なの? どこ 行くの?」「どっか 通るとは思うんですが・・・」
「どうも、あたしんとこに訪ねてくる(若い)人って、頼りないんだから」。頭の回転の
速さと合った早口の会話に うっとり圧倒された夏の午後である。

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by byogakudo | 2005-09-09 21:52 | 森茉莉 | Comments(0)


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