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猫額洞の日々

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2008年 09月 23日

谷克二「フォルクスワーゲン18番工場」を読んでいる

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 おととい辺りから谷克二「フォルクスワーゲン18番工場」(徳間文庫
90初)を読み始める。作者がワーゲンの工場で働いた頃(1960年代
半ば)をモチーフにした短篇集、全四作のうち三篇、読了。

 不思議な感触である。作者が投影された主人公の立場から、工場内の
できごとや、主人公を含めた外国人労働者とドイツ人労働者との接触・
軋轢などが描かれているが、主人公の存在がとても抽象的に感じられる。

 彼の肉体的条件(日本人にしては背が高いとか)も、仕事仲間との
会話も具体的に記されているのに、眼差しとしてしか彼はいない、
かのような感触。
 透明度の高い存在、という言い方でも違うし、なんだろう?
この抽象性はどこから来るのだろう? 不思議である。

by byogakudo | 2008-09-23 15:22 | 読書ノート | Comments(0)


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