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猫額洞の日々

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2008年 11月 13日

加藤周一「雑種文化」を読み始める

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 1955年から56年に書かれた評論をまとめたもの。60年安保前
である。状況分析として古くなっている部分も勿論あるけれど、
戦後史の流れを読み直すのに、いいんじゃないかと思って。

 加藤周一は51年10月からフランスに留学、55年2月帰国。
32歳から35歳まで、パリを拠点にヨーロッパを見て回りながら
日本について考えた日本文化論。

 まだ1/3くらいだが、戦後10年の日本は明るかったのだな、
という印象である。今が閉塞しきっているから尚更そう感じるの
だろうが、個人に立脚した日本を作ろうとする思い、それが
可能性を持っていた時代が伝わってくる。

 今の、互いに首を絞め合っている、窒息しそうな日本の前に、
こんな日本だってあったんだ。

   (講談社文庫 72初)

11月14日に続く~

by byogakudo | 2008-11-13 17:04 | 読書ノート | Comments(2)
Commented by 古井戸 at 2008-12-16 09:48 x
有名な割に、誤解されている論文ですね。
雑種、という命名もよくないが。。

加藤秀俊が論じています。
“雑種文化”礼賛 by加藤秀俊
http://homepage3.nifty.com/katodb/doc/text/2521.html
Commented by byogakudo at 2008-12-17 14:24
雑種・混血・混淆などの言葉には違和感がないのですが、「進化」という
のには偏見があります。「進化」=「善」という響きを感じるので、できる
限り「ある方向性をもった変化」と言い換えています。


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