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1955年から56年に書かれた評論をまとめたもの。60年安保前
である。状況分析として古くなっている部分も勿論あるけれど、
戦後史の流れを読み直すのに、いいんじゃないかと思って。
加藤周一は51年10月からフランスに留学、55年2月帰国。
32歳から35歳まで、パリを拠点にヨーロッパを見て回りながら
日本について考えた日本文化論。
まだ1/3くらいだが、戦後10年の日本は明るかったのだな、
という印象である。今が閉塞しきっているから尚更そう感じるの
だろうが、個人に立脚した日本を作ろうとする思い、それが
可能性を持っていた時代が伝わってくる。
今の、互いに首を絞め合っている、窒息しそうな日本の前に、
こんな日本だってあったんだ。
(講談社文庫 72初)
11月14日に続く~