猫額洞の日々

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2018年 02月 23日 ( 1 )


2018年 02月 23日

森茉莉付近(48)/(1)佐藤春夫『観潮楼附近』・表題作

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 『観潮楼附近』(原文は正漢字、正仮名遣いだが、新漢字、
仮旧仮名遣いで引用する)には明治の作家・芸術家と、その
家族に関した物語が収められている。表題作はもちろん、
鷗外とその子供たちの物語だ。

 観潮楼の建物は1937(昭和12)年に失火で失われ、残った庭も
戦中、1945(昭和20)年の兵火で破壊された。
 敗戦後の1950(昭和25)年4月ころ、観潮楼址に記念館を建てる
鷗外記念事業が動き出す。佐藤春夫も発起人のひとりであり、
地鎮祭と鷗外追慕の座談会に出席し、スピーチを求められる。
 鷗外に会ったのは4、5回に過ぎないが、

<わたくしはわが文学上の系図を述べ立てて鷗外の嫡孫であると敢て
 揚言した。わたくしが詩を学んだ与謝野寛、散文を学んだ永井荷風、
 両先生は正しく自他ともに許す鷗外の正系、また何かとわたくしを
 指導してくれた生田長江は鷗外の弟とも見るべき上田敏の弟子として
 鷗外を仰いでゐた。長江の側から云へば鷗外はわたくしの大伯父に
 当るが、寛、荷風を申し立てればわたくしこそ不肖また僭越ながらも 
 正しく鷗外の孫弟子には相違あるまい。>(p208-209『十六』)

 会場には鷗外の遺族たちがいる。森於菟・博士には面識がある。
 鷗外によく似た紳士を、森類氏だと紹介される。森類・夫人の母は、
佐藤春夫が若いころ結婚しようとした女性であった。
 その女性は結局、亜藤(仮名)という画家に嫁いだ。そして母に面差し
の似た娘が、森類の妻になっている。

 森類が、
< 「......亜藤の母がお差支へなくば一度わたくしども夫妻と一緒に
 お宅に伺ひたいと申して居りますが、お邪魔にはなりますまいか」
  「喜んでお待ち申し上げます。是非どうぞ」>(p209『十六』)

< 終にわたくしは待ちわびた客を迎へ得た。[略]
 四人づれの客のために家内はスリッパを集めならべてゐた。約束の
 三人の外に類さんの姉、茉莉さんも加はってゐたのである。この人も
 面識こそ無いでも無いがまだゆつくり言葉を交へた事はなかつたから
 亦よろこばしい客であつた。>(p213『十八』)

 亜藤夫人から、森類家の庭で摘んだ三色菫が渡され、暖炉の上に
飾られる。
 
< 大きくもない洋室の一部の虫喰床へ三畳だけ敷き込んだ妙な応接間
 の一方に類さん夫妻が窮屈げにちよこなんと坐つた。家内が出て来て
 類さん夫妻の上座に茉莉さんを据ゑた。わたくしは大火鉢の脇に窓を
 背にした自分の座につくと狭い場所のどこに敷かうかと迷つてゐる家内
 から座布団を受取つた亜藤夫人が息女と大火鉢との間の狭いあたりを
 選んで火鉢の向ふにわたくしに対して座を占めて、茉莉さんと少しずれて
 列んだ。>(p212-213『十八』)

 様々な会話が飛び交う。

< 「突然に上りました。弟の話を聞いてこれを幸と出ましたが、十一時
 の打合せを一時と勘違ひして皆さんをお待たせしたばかりか、せつかく
 ゆつくりお話をうかがへる筈の時間を無駄にしてしまひました」>
(p215『十八』)
__とても、森茉莉らしい。

<わたくしは前後を綜合してみて、この日早く亜藤夫人が娘夫妻の家を
 訪うて菫を摘み類さんたちを帯同して途中前日から約束の茉莉さんを
 待ち合せての来訪と知つた。
 [略]
  「信州へご疎開のお噂は茉莉さんか誰方かにうかがつて居りましたきり、
 [略]もしお帰りなら類さんが一度伺ひたいと云ふので、ではその時でも
 一緒になど申して居りましたので。[略]」>(p216『十八』)
__これは、亜藤夫人の言葉。

 佐藤春夫が全員に向かって、森類が鷗外の若いころによく似ていると
いうと、

< 「え、あれは兄弟中で一番父に似て居りますから」と茉莉さんが話を
 引取つて色々と乃父、愛称で謂ふパッパの追懐談が出る。類さんの
 幼児の諸記憶がつづく、姉弟が欧州の旅寓で父の死を知つた悲傷を
 交々説く。[略]
 世間からは近づき難い感じのあつた鷗外は血をわけた人々には普通の
 父子以上に親愛になつかしみの深い性格に感じられてゐるらしい。>
(p217-218『十八』)

 他の客が現れたので森類たちは立ち上がる。

< 茉莉さんは起ち際に、日露戦争第二軍から凱旋の父を、母と別居中
 の家に迎へた夜の待ちどほしい心にひびいて来た父の靴音の思ひ出を
 記した一文の出てゐる雑誌をわたくしのために残して行つてくれた。
 この手土産は「歌日記」の評釈者たるわたくしに参考となるところが
 あるからであらう。>(p218-219『十八』)


     (佐藤春夫『観潮楼附近』 三笠書房 1957初 J)

 森茉莉の出てくる箇所だけ引用したが、元の文章は、寄せては返す波と、
波が置き去りにした漂着物(記憶)のイメージを伝える。





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by byogakudo | 2018-02-23 22:12 | 森茉莉 | Comments(0)