猫額洞の日々

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2018年 03月 03日 ( 1 )


2018年 03月 03日

小林信彦『イエスタデイ・ワンス・モア』読了

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 思い違いしていて、小林信彦のとくに長篇小説を読んで
いなかった。小林信彦は、笑芸や映画についてのコラムや
東京についてのエッセイを書く作家という認識で、小説も
そのラインのものばかり読んでいたが、他の小説もまた、
彼の『東京物語』だったのだ。

 1989年1月の東京、幡ヶ谷のアパートに、大学受験を目前にした
青年が住んでいる。1歳のときに両親を亡くし、ただひとりの親戚で
ある伯母さんの援助で生きてきたが、彼女の死により10億円の遺産
がもらえることになる。当時はバブル経済時だから土地価格の高騰で、
そういう金額も出てくる。
 また、まだ富の再分配・思想が生きていたので相続税で引かれて、
10億は3億2千万円くらいになるだろう。この面では、まだしも健全
な時代だったといえる。

 遺産の話を聞いた夜、彼は15歳まで伯母と暮らした、両国橋のすぐ
傍のアパートメントを再訪する。彼の望みは、またここに住むことだ。

<隅田川(すみだがわ)に面した六階建てのアパートである。関東大震災
 のあとで建てられたというから、ざっと六十年まえ[注:1930年頃]の
 ものだ。当時としては画期的な鉄筋コンクリート建築で、太平洋戦争
 のときの空襲でも、(内部は焼けたらしいが)しっかりと残った。
 外側はベージュ色のタイル貼(ば)り、入口とロビーは大理石で作ら
 れている。一つのフロアに四世帯入っていて、伯母の部屋は五階の
 はしにある。八畳・六畳・四畳半にバスルーム、と急に日本的になる
 けれど、最近のマンションにくらべると、部屋のゆとりが違う。設計者
 としては、ハドソン川やイースト・リバーに面したNYのアパートを模した
 のだろうが、当時は高層建築が禁じられていたので、地上六階になった、
 と伯母に教えられた。>(p11『序章 冷たくしないで』)
__主人公の青年だけじゃなく、読者であるわたしも住みたい!

 終わりの『作者ノート』によれば、このアパートのモデルは、

<両国橋を本所のほうへ渡ってすぐ左側にある煤(すす)けたアパート
 メントである。(「流れる」という1956年の映画では、このアパート
 メントは光り輝いている。高峰秀子が川岸を歩く唯一(ゆいいつ)の
 シーンで遠くに見えるのだ。)子供のころから、この建物はぼくに
 とって謎(なぞ)だった。

 [略]
     (1989年7月)

     追記__<川岸のアパートメント>は最近取り壊された。
     (1994年7月)>(p257-258『作者ノート』)

 このアパートを再訪した夜、何の加減か、青年は1959年6月21日の
東京にタイムスリップして過去の時空で生きることになる、SF・青春・
風俗小説だ。
 タイムパトロールが現れ、戻るように言われるが交渉する。歴史改変に
なるような大事(おおごと)はやらないから、1989年に戻るのは1966年
9月のビートルズ公演を見てからにしたいと頼む。
 続篇『イエスタデイ・ワンス・モア〈Part2〉―ミート・ザ・ビートルズ』
も読まなくちゃ。


     (小林信彦『イエスタデイ・ワンス・モア』 新潮文庫 1995年2刷 J)
 




呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
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by byogakudo | 2018-03-03 20:41 | 読書ノート | Comments(0)