猫額洞の日々

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2018年 07月 21日

(3)ジュリアン・グラック/永井敦子 訳『ひとつの町のかたち』、もう少し

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~7月19日より続く

 『第六章 有名な歴史的建築ばかり見ても、町はわからない。
ナントは周囲の土地への依存が少なく、町の規模のわりには
都会的で自律的である。』より引用。

 現代は、
<旅行者がどこの町を訪れる場合でも、建築の見どころ(マスト)
 が予めメディアによって教えこまれている>(p119-120)
時代であるが、

< 私は自発的でより自由な、[略]やりかたでナントと出会った。
 [略]十一歳の私は、この町の多少とも注目すべき歴史的建築が
 どれかなど、考えてみもしなかった。[略]
 町の「文化的」、教育的散策というのも、その頃の学校教育には
 なかった。[略]
 選別を受けてもレッテルを貼られてもいず、目録にも載せられて
 いない町の通りを、私は野生児として行き当たりばったりに歩いた。
 段階に見合った敬意をはらうために、すばらしいものから順にあれ
 これ並べてみようなどとはみじんも考えない人にこそ風景がしみ
 こんでゆくように、町の不揃いの石の塊や、光のさしこみや水路や
 日陰の溝のように両側を挟まれた通りなどを、私はまるまる自分に
 しみこませていたのだ。
 [略]
 教養のために何かすることを嫌う癖、「芸術性の高い建築物と事物」
 を訪ねることへの嫌悪は、一生私についてまわった。ときには後ろ
 めたさや、一応見ておくかという気持ちが勝つこともあったが、庭を
 散歩するように町を散歩するという年来の習慣を無理して断つことで、
 かつて自分がどれだけの益を引き出せたかさだかでない。私の関心は、
 [略]
 フェイドー島やポール-コミュノの座礁跡や、基礎杭上に建つ家々の固い
 うねりに、
 [略]
 町のにおいや日焼けの褪色や肌のきめのほうに向けられるのだ。>
(p120-121)

 わたしたちが散歩するときの心の在りようを、代弁しているかのようだ。
 記号的ヒエラルキーに無関心なので、たまたま惹かれて入ったところが、
あとで、いわゆる名所旧跡/歴史的建造物だったりはしても、最初からそこ
を目指すのは、どうも違う。
 もちろん、なぜそこに入ってしまったのかは、臭覚/センスに、それなりの
基層あるいは本能的(?)指向性があるからだけれど。

 ライヴや展覧会に行くと、自分の好みのよさを確認するために、見に来て
いる人々を感じて気が重くなることがある。


     (ジュリアン・グラック/永井敦子 訳『ひとつの町のかたち』
     書肆心水 2004初 帯 J)





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# by byogakudo | 2018-07-21 21:09 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 20日

まだ真夏じゃない?!

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 写真は、6月22日(金)に逢った、うっかりもののモノクローム猫。
この日の最高気温は28.1℃、最低が19.4℃だった。日陰は歩けても
日向に出るとくらくらしながら、
 「でも、まだ"真夏"ってのが来るのよね」と、今から思えば牧歌的
なことを言っていた。

 今日の最高気温は33.2℃、最低気温が27.2℃。ひと月前の最高気温
が、ひと月経ったら、最低気温に近い。今日は7月後半。8月や9月が
控えている。どうしよう?
 何か書こうとしても、まとまらない。




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# by byogakudo | 2018-07-20 21:40 | 雑録 | Comments(0)
2018年 07月 19日

(2)ジュリアン・グラック/永井敦子 訳『ひとつの町のかたち』、少しずつ

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~7月12日より続く

 歩くひとの数だけ、町のかたちは存在する。同じ通りを歩いても、
ひとが違えば、違うメッセージを町から受け取るだろう。同じひとが
歩いても、時間が違えば、年齢を重ねれば、町の印象も変わるかと
思うが、ジュリアン・グラックの場合、あまり変わらない。
 まだ子どもだったころに抱いた印象が、感情や思考の基層を成し、
読んだ本とともに、透明な襞を重ねる。

 『第四章 寄宿生の集団散歩の経路。町の中心部から幹線道路に
通じる放射状の道づたいに、東西南北の郊外へ。それぞれの郊外
の様子。町の周縁部の、より魅力的な三つの湿地帯への散歩。』
より引用__

< ブルトンが、[略]一九一五年から一六年にボカージュ通りの女子
 高等学校__[略]__からプロセ公園まで何度もたどった道筋ほど、
 過去を生まれ変わらせる力を帯びた散歩コースというのもほとんど
 あるまい。「ナントの通りを介して、ランボーが私に完全に取り
 憑いてくるのです。[略]」
 [大きく略]
  現在の__刈りこまれ、砂が敷かれ、壁で囲われ、磨き上げられ、
 掃き目のつけられた__プロセ公園は、緑地帯整備の現代的な規範
 には忠実なのだろうが、ブルトンが知っていた、そして二〇年代初頭
 に私の見ていた、たしか改修以前のものとは、もうほとんど共通点が
 ない。
 [略]
 しかし夕方のまだ明るい頃、シェジーヌ川にかかって公園を西側で
 しきる小さいアーチを連ねた水道橋型の煉瓦の橋まで行くと、アーチ
 ごしに見える構図が、子どもの頃の、小学生用のペン軸にレンズと
 いっしょにはめこまれていた豆写真と同じくらいきっちりと枠に収まり、
 知らない場所のような不思議な感じがして驚く。
 [略]
 アルデンヌの森の小さな谷もこんな感じかと思うほど寂しく人けがなく、
 深閑としている。そして[略]「シェジーヌ渓谷」の整備が終われば__、
 そう、ブルトンの見た光景がさらに広がることになる。「......カシスの
 川は人知れず、かわりなくここを流れる、不思議な谷をぬって。」>
(p77-78)

 ランボーの記した風景/言葉をブルトンが読み、歩き、記述し、さらに
グラックが読んで歩いて記述し、永井敦子の翻訳により、日本の一読者
がそれを読む。

 見て歩いて記述して読まれる重なりをフォーカスするのが、豆写真を
はめこんだレンズつき<小学生用のペン軸>という小さなオブジェ/名詞
である。


     (ジュリアン・グラック/永井敦子 訳『ひとつの町のかたち』
     書肆心水 2004初 帯 J)

7月21日に続く~





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# by byogakudo | 2018-07-19 20:48 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 18日

(3)安岡章太郎『僕の昭和史 I・ II ・III』(全3巻)読了

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~7月17日より続く

 『僕の昭和史 III』は、もはや戦後ではない時代だ。安岡章太郎は
アメリカやソ連を訪れる。パック・ツァーが盛んになる以前に、招待
されて外国の戦後を見聞する。

 アメリカでは公民権運動・直前の南部の大学に留学して、"WHITE"
と"COLOURED"の区別に直面する。日本人は名誉白人扱いだが、

<有色人種ということを厳密に言う場合、われわれ黄色人種
 (オリエンタル)も勿論"有色"のなかに含まれる。>(P10)

 だからなかなか下宿先が決まらない。受け入れてくれたP夫人の
家は代々、人種差別反対だが、彼女は南部・保守派のS夫人と仲が
いい。思想信条と親しさとは関係しないのか。

 ヴェトナム戦争末期、安岡章太郎はアメリカを再訪、P夫人やS夫人
と再会した。
 黒人差別撤廃運動に参加していたP夫人の息子は、海兵隊で戦闘機の
テスト・パイロットになっている。S夫人の息子は、徴兵カードを破り
捨てたのでアメリカに住めなくなり、メキシコで大学教授をしている。

<徴兵制度がなくなっても、徴兵忌避の罪だけはあくまでも残るという
 わけだ。[略] 
 しかし、僕が羨ましいと思うのは、アメリカの場合、そうやって徴兵を
 忌避しても、その罪が五族に及ぶということがないことだ。アメリカ
 にも家族主義はある。しかし息子が犯した罪で、親までが一緒に罰せられ
 たり、世間から苛責ない非難を浴びせられるということはない。げんに
 S夫人は、息子のことで多少グチをこぼしたあとで、頭を上げると、
  「でも。あたしはあの子のやったことを間違いだとは思ってませんよ。
 戦争で人殺しをするなんて、誰が何と言おうとゼッタイに良くないん
 だから......。そりゃ、Pさんの息子は海兵隊の戦闘機乗りで、お国の
 ために正しいことをやっているつもりでしょうけれどね。でも、うちの
 息子だって正しいんですよ。[略]」>(p187-188)

 トランプや安倍晋三の現在から見ると、立場の違いを越えて話し合えた
時代があったことが、まるで奇跡的にも思えてしまうが、話し合えたし、
友人でいられたのだ...。

 『僕の昭和史 III』の最後は、戦時下に<<別世界>>をつくって魂を生き
延びさせようとした仲間の、戦死の様子が明らかにされる。

< __そういえば、小堀が入営する前の晩、おれたちは「一九五〇年
 七月十四日にパリのポン・デザールで会おう」なんていってたな。>
(p27『僕の昭和史 II』)

 そう言い合っていた仲間のひとり、小堀延二郎は戦死ではなかったようだと
知らされる。

 ルソン島で、兵隊たちは飢えと下痢とマラリヤに苦しんでいた。
<運悪く小堀は、そのときマラリヤの発作で高熱を発し、崖の側穴の中で
 天幕の防水布にくるまって寝ており、先任軍曹が代理に指揮をとっていたが、
 隊長のいない機関銃小隊は銃座をつぶされると、隊員は全員ちりぢりになって
 陣地をはなれたという。そして小堀は、病気とはいえ重大なときに寝込んで
 いたというので、引責自決を命じられたというのである。>(p255)

 日本人は変わらない、という印象だ。
 『僕の昭和史 II』に出てきた、自殺した批評家、服部達が気になる。
 
 
     (安岡章太郎『僕の昭和史 III』 講談社文庫1991初 J)

(1)安岡章太郎『僕の昭和史 I・ II ・III』
(2)安岡章太郎『僕の昭和史 I・ II ・III』
(3)安岡章太郎『僕の昭和史 I・ II ・III』





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# by byogakudo | 2018-07-18 22:17 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 17日

(2)安岡章太郎『僕の昭和史 I・ II ・III』(全3巻)読了

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 昨日は失礼しました。ちょっと昼間から用事で。


~7月15日より続く

 『僕の昭和史 II 』は戦中から戦後へかけての記述である。

< 戦時中、僕は精一杯、時流に逆らって生きてきたつもりだった。と
 いったって、[略]
 単にぶらぶらと平和な時代の怠け学生と同じことをやってきたに過ぎな
 かったが、それでも何とか周囲の影響を受けずに、自分生来の生き方を
 押し通したというのが、僕の奇妙な自負になっていた。
  しかし実際のところ、周囲の影響をまったく受けずに暮らすことなど、
 出来ようはずがない。おまけに僕らの年齢では、戦争と自己形成期とは
 ピッタリ一致しているのだから、なおさらのことだ。僕のなかには有形
 無形に戦争中の思想や国体観念といったものまでがシミこんで、知らず
 識らずそれに動かされてきたに違いない。>(p34-35)

 安岡章太郎、1920年4月18日-2013年1月26日。亡母が1919年生まれ
だったから、彼と同世代だ。満州事変(1931年)からシナ事変(1937年)は、
彼が11歳から17歳まで、彼女が12歳から18歳。彼女は地方で育ち、しかも
女だから、徴兵されて人を殺しに行くことからは遠ざかっていられたが、
<自分生来の生き方を押し通>すなど不可能だった。

<昭和十五年、六年[注:1940~41年]頃から僕らは、いわゆる国民総動員と
 いった暴力的な状況から自分を守るために、小さな<<別世界>>をつくって、
 その中に潜り込もうとした。[略]
 無論、戦争が終ったいまは言論も思想も"自由"であり、<<別世界>>のなか
 に隠れる必要はなくなった。しかし、外部の状況がどう変ろうと、僕らが内部
 に築き上げた<<別世界>>は、そう簡単に崩すわけにはいかなかった。
  僕らより若い、戦時中、軍国少年であったような連中には、こういう悩みは
 なかったろう。勿論、ものごころついた頃から国家主義を吹きこまれてきた
 彼等が、戦後突如として民主主義教育を強制されたときは大いに困惑したに
 ちがいない。しかし、そうだとしても彼等は、僕らのように内心と外面との矛盾
 相克をきたすことはなかったはずだ。また、僕らより年長の、戦争が終ったとき
 三十代に達していたような人たちにとって、"戦後"は一陽来復といったもので
 あり、雑誌『近代文学』などによった人たちの間では、これから「第二の青春」
 を生きるのだという声も聞かれた。しかし僕自身には第一の青春も第二の青春
 もない。あるのは外部に対する漠然とした不信の念だけであった。>(p65-66)

 1929年生まれの叔母(亡母の10歳下の妹)が、安岡章太郎のいう
<戦時中、軍国少年であったような連中>だ。
 叔母が言った、
 「戦争が終わって、軍国少女だったことを自己批判したのよ」。そして英語を
ほとんど独学に近いかたちで学び取り、その技術で戦後を生きていった。


     (安岡章太郎『僕の昭和史 II』 講談社文庫1991初 J)

7月18日に続く~





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# by byogakudo | 2018-07-17 22:07 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 15日

(1)安岡章太郎『僕の昭和史 I・ II ・III』(全3巻)読了

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 『僕の戦後史 I』のジャケット画が煙草のゴールデンバット、
『II』がピース、『III』がセブンスターである。それぞれが戦前
の昭和、戦後の昭和の始まりと終盤(単行本が出版された1988年
ころまで)を表し、煙草という個人的な嗜好品を主題に選んだこと
によって、個人の生きた時間と、彼が属する/属した社会との関わり
よう、その変遷を重ね合わせて表現する。
     (ジャケット・デザイン:田村義也)

 昭和は大まかに言えば戦争という切断線によって、くっきりと
異なると、とくに戦後に生まれたので、思っていた。戦争へと傾斜
していく戦前(1930年代以降)の昭和は、軍事政権の圧迫によって、
ひたすら暗く、呼吸するのも困難な時代だと思っていた。

 安岡章太郎によれば、
<「十五年戦争」という言い方は、戦後になって出来たもので、
 当時は誰もこんな戦争がこれから十五年間もつづくだろうとは、
 夢にも思っていなかった。[略]
 満州事変[注:1931年]とシナ事変[注:1937年]との間には、
 ほんの数年間にしろ平和なインターヴァルがあって、それを
 戦争とは呼べない気がするのだ。>(p39『僕の戦後史 I』)

 その間の大きなできごとを年表で示した後、
<満州事変からシナ事変までの間にも、いろいろなことが起っており、
 "非常時"つまり戦時下にあったことがわかる。しかし、満州事変その
 ものは僅か半年間でカタがついており、上海事変は小規模な局地戦
 で文字通り"事変"に過ぎなかったから、戦争の危害が僕ら銃後の国民
 生活におよんでくるとは考えられもしなかった。というより、この
 二つの事変は日本にとって儲かる戦争であったというのが、国民全般
 の実感だったろう。[略]
 たった半年間の戦争で、あの広大な満州の土地が手に入ったという
 だけで、これはたいへんな大儲けだと、国民一般はおもったはず
 である。>(p40-41『僕の戦後史 I』)

 歴史の教科書では政変や戦時のできごととして、大文字で一般化した
記述がされる。
 ここでは、安岡章太郎という個人が体験した時空間として、戦争は抽象化・
一般化されず、小文字で、実感的に描かれる。

 シナ事変3年目(1940年)ころから、日用品が身の回りから消えてゆく。
安くて実用的な木綿がなくなり、
<ス・フ(ステープル・ファイバー)と称するパルプ製の代用繊維がこれに
 かわった。>(p82『僕の戦後史 I』)
 コーヒー豆の中には大豆を焦がしたものが混じったりする。このときは
一時的だったが、マッチもなくなったことがある。

<そんな風に日用の実用品が失くなりはじめたことから、ようやく僕らは
 戦争の実感を、いやおうなしに身のまわりで覚えさせられるようになって
 きた。しかし、この圧迫感は、僕らの両親や祖父母たちの日清、日露の
 両戦役の頃には覚えたこともない奇妙なものだったに違いない。何しろ、
 宣戦布告もなく、政府が不拡大方針をとなえているうちに戦線が拡がって、
 いつの間にか中国全土に厖大な数の軍団が派遣され、何処までひろがるか
 わからない泥沼の中に、銃後の国民までが、どっぷり浸されたようになって
 いるのだ。>(p82-83『僕の戦後史 I』)

 2018年のいまは、どんなにこの頃と似ているのだろう。


     (安岡章太郎『僕の昭和史 I』 講談社文庫1991初 J)

7月17日に続く~





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# by byogakudo | 2018-07-15 23:24 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 14日

善福寺公園~西荻窪駅北口(2018/07/13)

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 昨日も4:30pmまで自宅待機。一昨日(7月11日)はずっと部屋に
いたので腰が痛い。

 満を持して(?)喘ぎながら東高円寺へ。地下鉄で荻窪まで。西か
東かと迷ったが、東に行くと、帰りがラッシュの時間帯になる。それは
避けたい。地下鉄を使わずに東へは行けない...。

 荻窪からバスで善福寺公園。バスが井草八幡宮へと曲るときの右角に
在った古い木造家屋が建て変わっていた。銅板葺きでもあったような気が
するけれど、建物が壊されて更地になったり、建て変えられたりすると、
すぐ風景は上書きされる。見知っていた筈が思い出せない。

 善福寺池の下の池の方をくるっと廻り、善福寺2丁目を歩いて、なんとなく
西荻窪駅であろうと思われる方向を進むと、地蔵坂に来る。これでいいのだ。
 ここらにも西荻窪の、若手が始めたらしい、新しめのお店が、ぽつぽつ。

 アンティークショップがあるので入ってみた。ショップカードによれば、
ノースウェスト アンティークス。家具も小物雑貨も置いてある。ローマの
ホテルの絵はがきを買い、『西荻窪 古本とアンティークマップ』をもらう。

 駅が近づき、右手に音羽館が見える。西荻へは五日市街道から北上すること
が多いので、音羽館は久しぶりだ。入る。

 ある単行本棚の並びをメモした。左から右へ__
ボルヘス『新編バベルの図書館』全3巻~J.G.BALLARD
"RUSHING TO PARADISE"~由良君美『読書狂言綺語抄』~
ピエール・クロソウスキー『歓待の掟』~エリザベス・ボウエン
『日ざかり』(太田良子 訳)~鈴木創士『サブ・ローザ』~中井
英夫『地下鉄の与太者たち』~ジョルジュ・ダリアン『泥棒』~。
 連想しりとりみたいな流れ。

 レオ・ブルース『ミンコット荘に死す』(扶桑社ミステリー文庫)
を買って駅に向かっていたら、小ぶりな書店(?)に気がつく。

 入口近いレジの男性と目が合い、会釈するとガラス戸を開かれ、
 「新刊と古本をやっています。日曜日から再開するので、今日は
準備中ですが、よかったら」と仰る。ちょっとお邪魔する。
 真ん中のテーブルが新刊書、周囲の低い棚に古本だ。どれに
しようかな。
 司修『本の魔法』(朝日文庫)にした。忘日舎という本屋さん。
 パワー不足で南口へは廻れなかった。

 今日は酷かった昨日より熱い。ゆっくり動いていても、ふらつく感じ。





 イギリスの反トランプ・デモがいい。プラカードの"I HAVE ZERO TOLE
RRANCE FOR TRUMP !"、全長6mのアングリー・ベイビー・トランプ風船
(下半身は安全ピンで留めたおむつ)。そのまま反アベシンゾー・デモに
応用できる。


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# by byogakudo | 2018-07-14 15:08 | 雑録 | Comments(0)
2018年 07月 13日

島田裕巳『オウム事件死刑執行』@東京新聞・夕刊 2018/07/12

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 昨日の東京新聞・夕刊、第5面に島田裕巳が『オウム事件死刑執行』
という見出し(黒字に白抜き文字)で寄稿していた。小見出しは2行、
『秘密を抱え次々隠蔽交錯』『組織犯罪の典型』(白地に黒い文字)。
 オウム真理教についての報道が始まった、1989年(平成元年)から
記述を始める。

 坂本堤(つつみ)弁護士一家殺人事件は当初、失踪事件として扱われた。
「オウム真理教被害者の会」を支援していた弁護士なので、

<当然、疑惑はオウムに向けられたが、捜査にあたった神奈川県警と
 人権派の坂本弁護士との折り合いが悪かったこともあり、捜査は十分
 に行なわれず、その時点ではオウムが犯人だとはされなかった。>

 そして、松本サリン事件(1994年)、地下鉄サリン事件(1995年)を起こす。
その6年後(2001年)、アメリカで同時多発テロが起こった。

< 一連の事件の最初は、88年9月に、富士山麓のオウムの道場で修行を
 していた信者の一人が突然暴れ出し、それを押えるために水をかけたり、
 頭を水のなかにつけて死亡させた出来事だった。教団は、宗教法人として
 の認証を申請していた最中でもあり、このことを秘密に処理し、遺体も
 焼却して、近くの湖に捨ててしまった。
  この事件を知る信者が脱会しようとしたときに、その信者を殺したのが
 最初の殺人で、それに関与した信者たちが坂本事件の実行犯となった。重大
 な秘密を抱え、それを隠すために次々と隠蔽(いんぺい)工作をくり返すのが
 組織犯罪の特徴で、オウムはまさにその方向にむかってしまったのだ。
  重要なことは、坂本事件で疑われ、警察による捜査を受けたにもかかわらず、
 教祖や実行犯が逮捕されなかったことだ。これは、教団の側にとっては、一種
 の「成功体験」となり、自分たちが何をしてもつかまることはないという意識
 を生んだ。>

 島田裕巳が感情を抑えて淡々と述べる、これらの記述の中の"オウム"や
"教祖"を、"日本会議"と"安倍晋三"に置換して読むと、時期的には、ずれる
が状況がオーヴァラップする。
 森友・加計学園事件で、ひとつの嘘を隠蔽するために、さらに嘘を重ねる
さまが透けて見える。

 権力の側にいるので安倍晋三どもは、嘘を押し込めるのに成功しかけている
ようだが、その「成功体験」がさらなる権力の暴走を加速させるのは明らかだ。

 組織犯罪集団に変貌した宗教組織を、自分には関係ないからと見逃していた
せいで、テロ組織に成長させた。共謀罪も安保関連法も自分にはすぐ影響が
及ばないだろうと座視していたせいで、安倍晋三・類は、したい放題、出放題
に暴走を続けるのだ。

 記事の終わりに、書き手のプロフィールがあり、
<地下鉄サリン事件後、「オウム擁護派」と批判を受け日本女子大教授を
 辞職。その後、執筆に専念。>と紹介される。
 学問・研究の自由を護るためには思想や信条が異なろうと、研究者同士
は共闘すると思っていたので、彼を見捨てる同僚たちに驚いたことを思い
出す。

 あのころから頓に、文脈を読まない解釈、あるいは文脈を無視した解釈や、
それに伴うでっち上げの非難、さらにはそもそも文脈が存在しない、無理な
接続など、読解力の劣化がひどくなったように思う。自己防御反応の肥大化
と足並みを揃えて。


     (島田裕巳『オウム事件死刑執行』 東京新聞・夕刊 2018/07/12)





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# by byogakudo | 2018-07-13 14:14 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 12日

(1)ジュリアン・グラック/永井敦子 訳『ひとつの町のかたち』を読み始める

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 写真は一昨日、7月10日(火)に逢った猫、お祖師さまの近くで。
撮っていたら背後にロシアンブルー風も現れた。夏の猫は涼しい
場所に詳しい。
 環七手前では、(もしかすると10年くらい前にも逢った?)キジ
トラと再会。


[注:以下、引用文中の漢数字は洋数字に置き換えてある。]

 ジュリアン・グラック『ひとつの町のかたち』は、巻末の『訳者
解説』によれば、
<1921年から28年まで、グラックがナントの高等学校で寄宿舎
 生活を送った時期のその町と彼自身について』(p231)
述べた本だ。

『第一章 ナントの高等学校での寄宿舎生活。奪われた自由が刺戟した
町への関心や思い。その町は私を介してどうなり、私は町を介してどう
なったか、これからたどってみよう。』(章ごとに内容が要約された
エピグラフがつく)によれば、1920年代の寄宿舎は厳格に運営されて
いて、休暇を除いて、日曜日にしか外出できない。しかも、

<保証人自ら私たちを面会所まで受け取りに来て、[略]
 夕方にはそこまで私たちを送り届けなくてはならなかった。>(p17)
ので、グラックは2週間に一度しか外出しない。

<それ以外のとき町のもので見えるのは、校庭の塀からのぞく植物園
 の木蓮の梢と、8時5分前と2時5分前に、登校する通学生のために
 開かれる通用門から垣間見える美術館の正面玄関だけだった。>
(p17-18)

 修道院か監獄に近い幽閉生活だ。
 町を見ることはできないが、町の音は、廻らせた塀を越えて聞こえて
くる。
<私はひとつの町の中心部で、その町のことを身をもって知るという
 よりは想像しながら生きていた。>(p18)

 『第三章 私にとってナントの中枢は高等学校の周辺、行政と軍隊と
教会が支配する地区だった。高等学校に隣接するふたつの対照的な空間、
植物園と美術館』に記される、

<子ども時代というのは物質的なイメージを勝手に発展させて、それを
 伸び放題にするものだ。そして情緒的な記憶によってその物質的な
 イメージは、決定的に記録されることになる。たとえば私は、[略]
 神秘とはほど遠いその建築のまどろみの背後に、デルヴォーの町々、
 そしてキリコのそれすらも予感していた。>(p44-45)

__ひとごととは思えない。


     (ジュリアン・グラック/永井敦子 訳『ひとつの町のかたち』
     書肆心水 2004初 帯 J)

7月19日に続く~





呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

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# by byogakudo | 2018-07-12 20:17 | 読書ノート | Comments(0)
2018年 07月 11日

昨日も今日も、やっぱり歩く

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 写真は東の方で。昨日、今日と歩いたのは近場、西の方。

 昼間の熱量がものすごい。4:30pmまでは部屋で待機する。
冷房をつけていても、なんだか呆然としてくる暑さだ。何も
できない。

 陽射しが多少弱まったと思えるころ、外に出る。昨日は5pmを
過ぎていたか、お祖師さまの方へ迂回しながら歩いた。佼成病院
(もう何年も前に環七沿いに引越した)にはキャフェがある。まだ
やってる?と覗いたら、閉まっていた。6pmを過ぎていたから、
当然か。
 救世軍ブース記念病院の古い宿舎が、新建材で建て変わっていた。
戸建ての宿舎の周りにも工事用のネットが張られていたから、これも
新建材になるだろう。病院の裏側のコンクリート塀の一部に、かつて
の装飾モチーフが忘れられたように残っている。
 部屋の近所には救心製薬の本社もある。人々の魂と心臓を救いた
がってる界隈である。

 今日は高円寺方向へ歩く。熱と湿気で息苦しい。桃園川緑道では、
あの猫たちが風の通り道で休んでいた。
 杉並第四小学校辺りから適当に曲ったら、もしかして「十五時の犬」
に通じているのでは?と思われる、敷石が続く路地がある。右手には
大家さんのお家と庭でつながる古びたアパート。
 たしかに「十五時の犬」に出た。しかし、シャッターが降りている。
中央書籍販売の扉を押してみると、閉まっていた。
 夕飯を食べて、都丸の先、藍書店に向かったら、ここもお休み。
 新高円寺に向かう。「アニマル洋子」、シャッターが降りる。高円寺
の古本屋は、水曜・定休が多いのかしら?





 被災地に、日本中の、ありったけの給水車を。土砂を片づけるための
機材を。人手を。
 原発再開・辺野古移転・オリンピックのための工事を全部ストップして、
被災地に向かおう。宴会連中に、それができるか。


呪 亜屁沈臓/呪 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/呪 吐爛腐・夷蛮禍/

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# by byogakudo | 2018-07-11 21:50 | 雑録 | Comments(2)