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猫額洞の日々

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カテゴリ:Anna Kavan( 19 )


2019年 08月 20日

(4)Anna Kavan "Asylum Piece"報告/"4 A Changed Situation"

e0030187_22115075.jpg













 前回、"3 The Enemy"を書いたのが6月19日。またもや、
英語を忘却してそうで、おずおずとページを開く。
 なんとか読める? (目下、またしても数独に入り込み、
『ナンプレ7』(上級編)と『ナンプレ5』(中級編)に、
かまけている。めんどくさい方を熱心にやっているので、
読む時間を取られる。)


 7年も同じ家に住んでいると奇妙なことが起きがちだ、とか
いう書き出し。"わたし"[注:記述者]みたように生まれついて
の放浪者が偶然の連鎖で、ひとつの建物にくっついてるって、
すごい[注:意訳です。以下、意訳と摘み訳]。

 一族揃って、土地や家屋を所有する気がない。あちこち動く
のが天性だから、所有は、むしろ邪魔になる。
 それなのに、"わたし"は家持ちになろうとしていた。親戚全員、
売り払えと勧める。あのとき、そうしてたらなあ。でもなぜか、
ここから離れたくなかった。
 [略]
 とくに魅力のある家ではない。半分古風で、半分モダーンな造り。
 住み始めたときは、ほとんどまっさらな家__せいぜい、築10年
から15年__だったのに、"わたし"が所有してからというもの、家は
何世紀も前に建てられたみたいになってしまった。とくに古風な造り
の方が。
 [以下、家が生き物のように感じられてくる描写が続き、家の所有者
が、逆に、家に支配・所有されゆく過程が描かれ、タイトルの通り、
"A Changed Situation"なのである。]

__うーん、この要約で、読む気をひとに起させることができるかしら。
こんないい加減ダイジェストで、原文を想像されませんよう!


     (Anna Kavan "Asylum Piece"
     Peter Owen Modern Classic edition 2001,
     reprinted 2015)





#人間やめますか、自公維+国民民主+N国に投票し続けますか?

サイコパスども__
滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・
夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


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by byogakudo | 2019-08-20 22:34 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 06月 19日

(3)Anna Kavan "Asylum Piece"報告/"3 The Enemy"

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 写真は6月17日のカフェ清風(板の間の部屋)で。


 "The Enemy"は、短篇というより掌篇だ。タイトルといい、
第一行の始まり方が、
<SOMEWHERE in the world I have an implacable enemy
although I do not know his name.>(p31)

__尋常にSomewhereと書き出すのではなく、全部大文字で
SOMEWHEREと強調するところといい、妄想くささ満々である。

 期待(?)は裏切られない。被害妄想、監禁妄想、男性不信、
あらゆる不の可能性に満ちた語りが続き、結語は、まあ、予想
通り。


     (Anna Kavan "Asylum Piece"
     Peter Owen Modern Classic edition 2001,
     reprinted 2015)



 新潟の大地震、原発がいまのところ無事だったようなのは
不幸中の幸いだ。雨が続きます、被災者の方々が、これ以上
の災いに遭われませんよう。





サイコパスども__
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by byogakudo | 2019-06-19 20:19 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 06月 16日

(2)Anna Kavan "Asylum Piece"報告/"2 Going Up in the World"

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 "Asylum Piece"には短篇もあるが、掌篇と呼ぶべきものも
収められている。"Going Up in the World"は短篇。

 ヒロインは河の側の低い土地に住む。冬中、霧がたちこめて、
部屋は凍えそうに寒い、
<the pillow freezes my cheek>(p21)
と、記されるくらいに。
 何か月も太陽を見ない、孤独で凍えきって惨めな生活。

 耐えかねたある日、保護者のもとを訪れ、助けを求めるしかない、
と決心する。断られると分かっているのに、それでも、行ってみよう
と思った途端、楽観的になる。自己欺瞞してるなあと思いながらも、
服装を整える。
 何か手みやげは? 彼女はお金がない、彼らは何不自由ない暮しを
している。
 家中探しまわって、林檎を見つける。ぴかぴかに磨き、バスケットに
入れて持ってゆく。貧しい手みやげだが、温室栽培の桃や葡萄に慣れた
人たちには、却って喜ばれるんじゃないか、と自らに言い聞かせる。

 保護者(と訳していいのだろうか? Patrons と、大文字で始まるが)
の住いは、彼女のそれとは、天国の夏と寒冷地獄の違いがある。
 霧に悩まされることのない高層階、蝶蝶でも飛びまわっていそうに
温暖で、人工美を究めた住いである。

 Patrons は、男性も女性も完璧を具現化したような人々だ。描写を
読んでいると、なんというか、ギリシャの神々のブルジョア化、みたい。
 彼らは礼儀正しいが、彼らの規範に外れた彼女を許すことはしない。
決して迷惑はかけないから、あの凍えそうな家から救い出してくれと
彼女は懇願するが、

<you have caused us a great deal of sorrow and anxiety by
your bad behaviour>(p25)
と、Patron の女性に言われる。具体的にどんなことをしでかしたかは
記述されない。「わたしたちのアドヴァイスに耳を貸さないで、困った
ときだけ泣きつく」とまで言われてしまう。

 ...、ああ、そうか。ヒロインはブルジョアジーの楽園からの追放者なのだ。
だから、知恵の木の実であろう林檎を持って、もう一度、楽園の門を叩く
けれど、ブルジョアの天国では、もう知恵になど興味がないから、そこらに
放っておかれる。たぶん、女中たちがゴミ箱に捨てる前に、ひと齧りする
かもしれない、その程度の扱いなのである。

 ヒロインの懇願は拒否され、再び楽園から追放される。彼女がそこに属する
べきと宣告された、冷たい、霧の流れるストリートに戻るしかない。


     (Anna Kavan "Asylum Piece"
     Peter Owen Modern Classic edition 2001,
     reprinted 2015)





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by byogakudo | 2019-06-16 23:34 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 06月 12日

(1)Anna Kavan "Asylum Piece"報告/"1 The Birthmark"

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 この"Asylum Piece"も短篇集だ。前名、Helen Fergusonではなく、
正式にAnna Kavanと名乗るようになって最初に出た本、1940年刊が
元版。"Julia and the Bazooka"は、彼女が1968年に亡くなってから
最初に(1970年に)出た本だ。いまのところ、"Asylum Piece"の方が
辞書に頼らずに読めているように思うが、どうなるか。

 birthmarkとは生まれつきの痣とか黒子とかの意味らしいが、この短篇
では、語り手(女性)が寄宿生だったとき知った、ある女生徒の二の腕に
ある、薄い薔薇の花のような痣だ。小説の終りでそれは、宿命の刻印で
あることが示される。

 アンナ・カヴァンらしく、女性であること自体が、孤独で孤立無援の存在
であるという話だが、最初のパラグラフの孤独さが、英語を知らないから
こそ堪えるのだろうか、身にしみる。

<When I was fourteen my father's health made it necessary
for him to go abroad for a year. It was decided that my mother
should accompany him, our home was temporarily closed, and
I was sent to a small boarding school in the country.>(p9)

 3行目、"our home was temporarily closed"という表現が、わたしには、
ひとごと、よそごとみたいに感じられる。14歳の少女と、彼女が育った家庭
との距離を感じるのだが、英語知らずなので、そう感じるだけなのか。
 homeは、ひと(家族)+建物で成立する空間だから、前者を欠いては建物
も閉ざされるのだろうと思うが、それにしても、彼女と家庭との関係、距離が
目に見えるような気がする。
 英語で生きてきたら別に不思議でもない、普通の(?)言い方なのかしら?

 いや、その前に、"It was decided that my mother should accompany
him"という言い方だ。日本語だと、"母は父に付き添う必要があって"、とか
考える(書く)ところだ。"It was decided that...、それ故に"、とは考えない。
 英語は遠い。


     (Anna Kavan "Asylum Piece"
     Peter Owen Modern Classic edition 2001,
     reprinted 2015)





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by byogakudo | 2019-06-12 20:51 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 03月 10日

補遺:(12)Anna Kavan "Julia and the Bazooka"報告/"15 Julia and the Bazooka"

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~3月9日より続く

 翻訳では原文のよさが伝わらない、なんてことは嘘だ。翻訳者が
その身を作品に捧げた翻訳は、ほとんど翻訳者の身体を透明にして
原文を浮かび上がらせる。

 本を読むことは書き手と読み手との共同作業だから、なんだか訳の
解らない、あんまりうまくない翻訳であったとしても、読み手は訳文
の背後にある原文を読み取ろうとするので、原文に書かれた思いや
思考は、ちゃんと伝わるのだ、たいていの場合。

 それに、読む速度の問題もある。
 熱狂的なシーンでは、記述の速度も上がることが多く、読者も作品の
速度に同調して、読むペースが速まるはずだが、外国語読解力が不足
していると、それが叶わない。とつとつと単語を拾い歩いて、ようやく、
どんな場面だか見当がつくようでは、原作者に悪いじゃないか。
 そんなことなら翻訳書を読む方がいい。母語に翻訳された本を読ん
でも味わえないようだったら、その本は縁がないのだ。
 __あるいは、母語の能力が不足しているのだ、安倍晋三や菅義偉や
麻生太郎のように。母語できちんと、考えたり読んだり聞いたり話したり、
できなくて、どうやって人類として存在しているのだろう。

 だが、はかない、おぼつかない英語読解力でもって読んだAnna Kavan
"Julia and the Bazooka"ではあるが、それでもよかった。味わい尽くす
ことはできないが、楽しめた。
 たとえば、テニスのコーチからバズーカこと注射器をもらい、優勝杯を
獲得した場面__

<Without the bazooka she might not have won the cup, which as a
container will at last serve a useful purpose. It is Julia's serve that
wins the decisive game.>(p151 "15 Julia and the Bazooka")

__意味を違えてserveという単語を続けて使ってるのが解るのは、うれしい。
 ついでに、60年ころまでの翻訳だったら、それぞれのserveに小さな文字で
脚注がつき、70年代になると、訳語のルビとして"サーヴ"って書かれそうだな、
などと思い出すのも楽しい。

 というわけで、性懲りもなく、"Asylum Piece"を注文した。長篇を読み通す
読解力・気力・体力はないけれど、短篇集なら、時間がかかっても、どうにか
なりそうと解ったので。
 読む楽しみというより、ぼけ防止の側面が強そうなきらいはあるが。


     (Anna Kavan "Julia and the Bazooka"
     PETER OWEN MODERN CLASSICS 2009)





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by byogakudo | 2019-03-10 21:49 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 03月 09日

(12)Anna Kavan "Julia and the Bazooka"報告/"15 Julia and the Bazooka"

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 "Julia and the Bazooka"は、たしかに表題作に、ふさわしい。
Juliaと呼ばれるひとりの女性の、凍てつく氷のように燃焼する生涯
が、現在形を多用して、スナップショット的に語られる。

 大きな目(世界を見尽くそうという意志の象徴だろうか?)をした、
花が大好きな少女、Juliaは、赤いケシの花を摘んで持ち帰ろうとして
制止される。部屋を汚すから、と。
 でも、彼女の衣服はケシの花びらで、すでに赤く染まっている。ケシ
からはもちろん鴉片が取れ、ヘロインが作られる。Juliaの一生は、もう
ここで決まっていたのだろう。

 物静かな様子しか見せない学校時代を経て、結婚式に臨む彼女は、
片手に薔薇の花束、もう片手に小さな白いサテンのバッグを持つ。
 バッグの中には、レースで縁取りされ、アルページュの香りがする
ハンカチーフと、プラスティックの注射器。
 
 彼女はテニスのコーチから注射器をもらった。彼はそれをバズーカと
呼ぶ。バズーカって響きがおかしいし、笑えるので、彼女も注射器を
そう呼んできた。
 コーチと"バズーカ"のおかげで彼女はゲームに勝ち、優勝杯を手に
入れる。そして杯は、やがて、容器としての役目を果す、Juliaの遺灰
を入れる容器として。

 少なくとも20年ものの"バズーカ"は、目盛りも消えかけているような
注射器だが、Juliaとともに世界中を旅した。
 バズーカと一緒なら、彼女は笑って生きていられる。

 第二次大戦のロンドン空爆時でも、花が好きなJuliaは屋上で花を
育てる。爆撃機の低空飛行なぞ、関係ない。
 そして階段を降りようとして、彼女は失墜する。赤いゼラニウム
で服は染まり、瓦礫の中から引き出される彼女の腕には、それでも
注射器の入ったバッグ。

 赤い花やバズーカと、彼女の遺灰入り優勝杯の納められた、凍てつく
断崖にある整理棚(pigeon‐holes)とのコントラストが、最後は渾然一体
して終わる、うつくしい短篇。
 

     (Anna Kavan "Julia and the Bazooka"
     PETER OWEN MODERN CLASSICS 2009)

3月10日に続く~





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by byogakudo | 2019-03-09 21:47 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 03月 03日

(11)Anna Kavan "Julia and the Bazooka"報告/"14 Obsessional"

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 二度ほど通読して、三度目は辞書を引く。短篇の中でもごく短い
から引く気になれる。

 エンタテインメントはできごとが具体的に次々に起きるので、知ら
ない単語が続いても、わりと推理しやすい。
 でも、こういうタイプの小説は、アクションの連続もなく、日常
生活の描写も少ない。細かい心理の動きや、抽象的な思考の記述
だったりするので、用いられている単語が分からないと、全体の流れ
を見失いやすい。
 単語ひとつが分からないばかりに、一文の向かう先が見えなくなり、
ぼんやりした理解のまま読み進めていると、小説の全貌がぼやけてくる。
心もとない、方向違いな、読み方で終わってしまう。

 ヒロインは、死んだ、あるいは放射能や遺伝子的変容のせいで存在
が見えなくなった恋人への思いに取り憑かれている。
 彼はいつも、夜9時から10時のあいだに、彼女の部屋を訪れる(と、
彼女は信じている)。まるで、彼自身が鍵を使って開けたみたいに扉
が開き、彼女は彼を迎え入れ、会話が交わされる。

 「ここのところ来られなくってごめんなさい、怒ってない?」
と、彼が謝ると、

< "Of course I'm not angry," she would answer.>(p143)
__ここで、なぜ"she would"なのか、と悩んだが、前の記述に
出てくる知らない単語を調べて、ここまでの流れが明確になり、
これは、彼が来ていたら、こんなやり取りになる筈の仮定のシーン
だから、当然、"would"じゃん、と納得。

 この後に、現実の友人との会話が続くので、上記のやり取りが
仮定的な会話だと、分かってなくもなかったが、そこに至るまでの
一文、一文が明確になって、やっと、全体の流れや方向が定まり、
文章がフォーカスした。何が書かれているか、はっきりしたのだ。

 わたしはなぜ、日本語で書かれた、小説なりエッセイなりを読んで、
何がどのように書かれているか、理解できるのだろう。
 たぶん、わたしという個体が日本語でできていることと関連していて、
記述された言葉には含まれていない莫大な量の日本語が、著者よりは
少ないとしても、わたしの中にも蓄えられているから、類推の幅がある
のだろう。
 忘れかけているのを思い出そうとしている英語の場合、かつての備蓄量
も少なく、その後の忘却は甚だしいので、どうしてもジタバタする。当然だ。

 本文に戻ると、文字通り、取り憑かれた彼女の日々が綴られる。終り近く、
ヒロインが、彼の弾いていたピアノ曲を(頭の中で)ずっと聴きながら歩く
様子が、哀れできれいだ。


     (Anna Kavan "Julia and the Bazooka"
     PETER OWEN MODERN CLASSICS 2009)





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by byogakudo | 2019-03-03 22:28 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 02月 27日

(10)Anna Kavan "Julia and the Bazooka"報告/"12 Zebra-Struck"+"13 A Town Garden"

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 "13 A Town Garden"は、わりとちゃんと読めた(つもり)だが、
"12 Zebra-Struck"が、またしても、ときに見かけるSFぽい(?)
単語に惑わされて、うまく読めない。

 "13 A Town Garden"は、クスリ+療養所/避難所の感じ。
 ヒロインは街の真ん中で庭のある家に住む。ひとや交通量の
多い、狭い部屋に暮らす大多数の人々から羨ましがられる。

 多数派は週末になると、ごみごみした街から一斉に郊外へと
出かける。自然にふれて過ごそうとする。が、その行帰りの交通
渋滞の凄まじさ、車中の子どもの阿鼻叫喚、一刻も早く家に戻って
休息したいと願うのみだ。
 この辺りの記述、身体的な苦痛(たとえば、吐き気を催させる
ほどの汗くささとか)を、これでもかとばかりに克明に記す。

 彼女には庭がある。だから周りから妬まれる。目引き袖引き、
 「なんだかアヤしいひとよ」「いっつも独りじゃない」「なんか
ヘン」「だから、前からそう言ってるでしょ」

 けれども、彼らが実相を知ったら、ほんとに彼女と生活を取り
替えたいと思うだろうか。

 たしかに庭はある。ヒロイン以外、誰もいない庭が。大広間
サイズの、誰からも忘れ去られたような、空虚な中庭である。
地面の四方は壁に取りまかれている。この描写も骨身に堪える
詳しさだ。
 花は開かず、植物は手入れをされず蔓延る。庭というより、
貯蔵用の地下室とか地下牢にむしろ似ている。
 ときに幽霊が現れるが、幽霊さえ、彼女の方を見ようとも
しない。明らかに無視する。棒を地面に突き刺し、
"and [略] drops a shiny purple and black kidney shape
into the hole"(p140)
__これって、何でしょう?
 棒を突き刺すシーンが、ダウジングみたようにも感じられ、
彼女の中に残っている(はず)の、他者との共感性を探る行為
にも思える。精神病院での治療や検査の反映であろうが。
 塵と灰の味のする、孤独の空間。

 "12 Zebra-Struck"は、いま思いついたが、タイトルのzebra-struck
は、star-struckのもじりであり、それとシマウマの迷彩柄とをつなげて
イメージして行くと、もしかして読めるかもしれない...。


     (Anna Kavan "Julia and the Bazooka"
     PETER OWEN MODERN CLASSICS 2009)





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by byogakudo | 2019-02-27 21:59 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 02月 13日

(9)Anna Kavan "Julia and the Bazooka"報告/"11 Among the Lost Things"

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 "11 Among the Lost Things"は、辞書を引いて読む。小説の枠組み
部分がSF的設定なので、辞書に頼らないと、背景の状況がまるで分から
ない。

 "midwinter solstice"って、つまり冬至のことね、などと、近ごろは
ブックマークに英英辞典を入れたので、それを読みつつ、本文と行き来
する。英英で引いた方が、脳の中のかすかな英語頭・領域で往復できる
ので、ストレスが少なくてすむのではないかしら? 
 それにweb辞書の場合、あちこちに広告が入る。英和にはどれも日本
会議の息がかかっているみたいで、どのweb辞書でも、いやがらせの
ように明治百五十年がどうしたとか、ヘイトものらしい広告が目だつ。
 英英では、今のところ目に入らない__時間の問題かもしれないが
__ので、気が楽だ。

 人々が神の誕生を祝うころ、つまりクリスマスが近い冬至に、新しい
星が出現した。それは新しい神として人類を支配する。
 冬至、というのがシンボリックな意味を持つのだろうなあ...? 
 新星は生態系を破壊する。放射能が遺伝子パターンを変容させる。
新星の統べる世界では、太陽さえも昏くなり...、
<Its[注」新しい星の]magnificence dimmed the sun and put
out the planet's eyes.>(PP107-108)
__終りの方、"put out the planet's eyes"ってどういう意味だろう?

 こんな風に状況設定がきちんと読めないものだから、間に挟まれる
ヒロインの孤独や孤立の描写が、的確に読取れなくなる。宇宙規模の
設定(マクロコスモス)と、絶望的に孤独なヒロイン(ミクロコスモス)の
コントラストがくっきりしてるんだろうなあ、とは思うけれど。
 細部がきちんと読めないのが致命的で、でも、闇に侵食され、ヒトの
形態をさえ喪って存在するヒロインの最後のモノローグは、心に響く。
こんなに読解力がなくっても。

< The human being I once was I am now no longer. I don't know
what I'm supposed to be any more. Things keep changing here,
getting lost in the dark. It's very disturbing.
 Whatever I am, I'm among the lost things__I do know that.>
(p113)

 これも、きちんと再読すべき一篇(全篇、そうした方がいいけれど、
次は"Asylum Piece"、どうだろう? 読めそうな感じはするが)。


     (Anna Kavan "Julia and the Bazooka"
     PETER OWEN MODERN CLASSICS 2009)





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by byogakudo | 2019-02-13 21:15 | Anna Kavan | Comments(0)
2019年 01月 29日

(8)Anna Kavan "Julia and the Bazooka"報告/"10 High in the Mountains"

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 他の短篇でも、一緒に暮らす男が Oblomov と呼ばれていて、
これはあのオブローモフなんだろうな、この、ぐうたら男!、と
罵りを込めて名づけられてるのだろうなと、うすうす思いながらも、
これまた『オブローモフ』を読んでないので、いまいち確信を持って、
そう書くことができない。
 "10 High in the Mountains"まで読んで来てやっと、あのオブ
ローモフ、と言える。ヒロイン(作者)がそう書いているから。
<He never does anything else; that's why I call him Oblomov.>
(p100)
 一般教養が欠けていると、読書感想文を書くのに苦心する。

 彼は巣を張った蜘蛛のように家の中で、ヒロインが失態を見せるの
をじっと見張り、待ち続けるだけの、なんにもしない夫なのだ。
 一般的に、"家の中で巣を張る蜘蛛"に例えられるのは女性であろう
が、ここでは男性である。家庭という港に碇を下ろすことから逃れよう
とする少年の心を持つのは、男ではなく、女なのだ、この小説の場合。

 このヒロインが"9 Now and Then"とのヒロインと、ほぼ同一人物だ
とすると、"9 Now and Then"の感想のとき書き落としたが、彼が彼女
と、同棲ではなく結婚しようとしたのは、彼の父親の提案を受け入れて
のことだった。
 そして父親が結婚を勧めたのは、彼女の考えでは、彼女に財産があり、
今後も遺産が入りそうだから、である。婚姻関係にないと、相手の財産に
タッチできない。

 お金はひとを自由にする。現在までの社会では、男の方が出発点から
して、お金を稼ぎやすい。けれども、テーゼとアンチテーゼとは、たんに
鏡写しの関係なので、容易に逆転する。
 "9 Now and Then"に見られるように、女の側がお金持ちなら、男から
結婚と、さらに子どもという絆(!)をも求めることが起こり得る。

 "10 High in the Mountains"のヒロインは、そういう諸々の束縛、圧力、
圧迫感に過敏なので、オブローモフを家に置き去りにして、車で逃げ出す。

 速度の問題、これは20世紀のテーマだった。今は体感速度ではなく数値上
の速度の問題になっていそうだが。

 ヒロインはオブローモフな夫も、他の人類も、人類の作り出した家庭と
家庭像(生垣やフェンスやらで囲われた住い)も、全部嫌いだ。
 人々は彼女(の孤独や解離感)を理解しようとさえしなかったし、彼女の
記憶するところでは6歳だったころでさえ、人々は彼女の敵だった。
 ある日、夫・オブローモフに、これら、地上を覆う毛虫の集団のような人類
から逃げ出したいと訴えると、彼はショックを受け、彼女をあたかも犯罪者で
でもあるかのように見つめる。
 「そんなこと言っちゃいけないよ! 君がそんなこと言うのを、もし誰かが
聞いたら、君を気狂いだと思うよ」(p102)

 人類が作り出したもので唯一、彼女が愛せるのは車だ。他から隔絶して
ひとりになれる、彼女の相棒だ。一心同体である彼女と車とは、スピードを
上げて山の高みを目指す。速ければ速いほど、勝利は確実になるので。

 清浄極まりない山頂に着いても、彼女と車とは勝者であり続けることは
できない。 
 けれども、彼女は世界の果てを目指したのだ。


     (Anna Kavan "Julia and the Bazooka"
     PETER OWEN MODERN CLASSICS 2009)





サイコパスども__
滅亡 亜屁沈臓/滅亡 汚池腐裏子/呪 共謀罪=ネオ治安維持法/滅亡 吐爛腐・
夷蛮禍/

 安保関連法(こと戦争法)の本会議投票行動(PDF)東京都の
安保関連法(戦争法)に賛成した議員名


 共謀罪強行成立記念! 安倍政権の暴挙を忘れないために振り返る
「共謀罪トンデモ答弁・暴言録」


 【票を入れるな危険】日本会議所属の都議候補一覧

 小池百合子氏 日本会議“本流”から外れた愛国者

 「共謀罪」法 衆参両院議員の投票行動

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by byogakudo | 2019-01-29 20:45 | Anna Kavan | Comments(0)