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猫額洞の日々

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2011年 08月 31日

宮田紋三・宮田勝太郎「製本生活九拾年」読了

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 webで見てみるに、たぶん明治17年創業の宮田製本所の初代と
二代目の文章を集めた饅頭本だけれども、出版関係に贈る饅頭本なので
そこらは当然のこととしてデータがない。社史ではないから仕方ないが。

 初代・宮田紋三が晩年に書いた文章が大半だ。総タイトルは「製本
生活九拾年」であっても、初代の文集タイトルは『古今見聞漫談集』、
二代目・宮田勝太郎は『思い出さまざま』である。あまり製本の話は
出て来ない。

 特に初代の残した明治の昔話は、それこそ「明治百話」の世界だ。
銀座に瓦斯燈が灯っても歌舞伎座の辺りは釆女ケ原の明治の風景が
書かれているが、文集の中心は関東大震災の記録である。

 元は箱入りだったのではないかと思うが、これもデータがなくて
解らない。緑色の布装、洋本仕立てでありながら、薄い緑がかった
灰色のやや厚手の用紙は二つ折り、和本の記憶も伝えている。
 活字の色も黒々とし過ぎなくて気持のいい本だ。

     (発行者・宮田文一 印刷者・相川貞義 製本者・宮田四郎
     昭和47年 非売品)





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by byogakudo | 2011-08-31 13:11 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 08月 30日

(2)E・S・ガードナー「嘲笑うゴリラ」読了他

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~8月29日より続く

 これは誰が誰だか解った。けれど、なんだか変な話。謎解き場面は
ディクスン・カーもびっくりなトリックだし。

 大富豪殺しの容疑をかけられる元家政婦のキャラクターがよく出ている。
苦労し過ぎて、きつい性格になった中年女の人間不信ぶりが伝わってくる。
 大富豪に可愛がられる美人の元秘書と、互いに嫌い合ってる様子も、さも
ありなん。(そうか、この線で、ひたすら暗いストーリー展開すれば、メグレ
ものにもなれる。)
     (HPB 56初)

(1)E・S・ガードナー「嘲笑うゴリラ」
(2)E・S・ガードナー「嘲笑うゴリラ」


 森銑三「新編 明治人物夜話」(岩波文庫 02再 帯)を読み散らかしたり、
森達也「放送禁止歌」(光文社 知恵の森文庫03初 帯)は中断したまま。
 集中して読めない日が続く。やだなあ。





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by byogakudo | 2011-08-30 16:51 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 08月 29日

E・S・ガードナー「転がるダイス」読了/同(1)「嘲笑うゴリラ」2/3

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 ぼやっと読んでいた「転がるダイス」、変名をたくさん使っていて
殺された男は誰だったのかしら? ペリイ・メイスンが不利な情況を
かき回すために、裁判に持ち出した仮定が事実になったようだが、
読者がぼうっとしていてちゃ、なんにもならない。
 何を読んでるんでしょ。

 ここでもデラ・ストリートが、ペリイをたしなめる。弁護士と秘書の
関係だから上手く行ってるけれど、結婚してふたりで家庭を持ったら、
ペリイはすぐに、穏やかな家庭生活が牢獄に感じられるようになると、
大人の対応を見せる。男の作者の願望じゃないかしら。
 ふたりの関係がどうなるのか、読者の興味を引き延ばすための工夫
でもあるけれど。
     (HPB 57初)

 「嘲笑うゴリラ」では、類人猿を使ってヒトの殺人傾向・暴力性を
研究させている大富豪が殺される。ニューロティックでエロティックな
感覚が、控えめではあるが、底流に感じられる。
     (HPB 56初)

8月30日に続く~





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by byogakudo | 2011-08-29 12:11 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 08月 28日

鈴木創士版「ファラベウフ」

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 鈴木創士氏がツィッターに書かれた短文は「ファラベウフ」
ヴァリアントなので、消えないうちに引用させていただく。

<何年も忘れられたままそこにかかっていた廊下の奥の鏡、そこをお前が
通り過ぎるたびに、乏しい光のもとに剥げかかった水銀を透かすようにして、
鏡の表面が消してしまうお前のからだにくわえられた拷問のような消滅の
痕跡、再びその痕跡を赤い砂漠の月明かりのように反射するあの雨の日の
夕方の薄明かり>8月19日

<夕方の薄明かりのなか水星が獅子座を逆行する。音もなく雨が降って
いた。剥げた鏡の表面を盗み見る。鏡のなかで何かが少しだけ動く気配がして、
歯形のようなものが俺の首筋をかすめる吸血鬼の犬歯のように鏡の表面に小さな
傷をつけ、窓の手前で立ち止まったお前の手が震え始める。糸のように、ように。>
8月19日

 「ファラベウフ」、名作です。





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by byogakudo | 2011-08-28 12:59 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 08月 27日

小林力氏と猫と

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 臨時休業していながら、新着欄を上げるために店に来ようとしていたら
時代小説家・小林力氏とバッタリ。

 「ねこ新聞」8月号には、父・小林力氏に続き、ご子息・上村祐氏が寄稿
されている。さすが「守護天使」(映画化された)の作者らしい、軽妙で、
だからこそ、可愛がっていた猫を失ったさみしさが伝わってくる文章だった。

 小林氏、
 「ねこって、抱けるだろう。触っていたのがいなくなっちゃうとねえ」。

 ねこをなくしたときの喪失感は、どうにもやりきれない。ヒトに比べれば小さな
存在なのに、いなくなったときの空虚感の大きさは、ねこと暮らしたことのある
ひとなら、誰にも共通する感覚だ。





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by byogakudo | 2011-08-27 12:18 | 雑録 | Comments(0)
2011年 08月 26日

カルロス・フエンテス「チャック・モール」/鈴木創士「他人の記憶 夏の巻」再読

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 ある日、ひらめいた。鈴木創士氏の短編小説に出てくる隣の坊主は、
フエンテスの「チャック・モール」ではないかと。

 啓示が降りてくると直観猛進(©たしか都筑道夫)、そのまま妄想を
展開させる質であるのは充分承知。「チャック・モール」を読み直して
みた。

 うーん、違うか。なんだって関連づけられないことはないのが、地上の
できごと。こじつけようと思えばできなくもなさそうだが、無理があると
わかった。

 「チャック・モール」では、メキシコの土俗神「チャック・モール」が
侵略者であるヨーロッパ系白人を侵略し返す。鈴木氏の隣の坊主は、土着の
気配はあるけれど、主人公にとって目障りなだけで、主人公を乗っ取りまで
はしない。ひたすら鬱陶しい存在としてあり続ける。

 それにしても「spin」の休刊が残念。鈴木創士氏の小説が読める場所が
なくなった。現代思潮新社の毎月のコラムで、小説を載せてくれないかなあ
と夢みるけれど、難しいのでしょうね。

     (カルロス・フエンテス 安藤哲之訳「アウラ」 エディシオン・
     アルシーヴ ソムニウム叢書2 1982初 函 帯)
     (鈴木創士「幻脚記 七 他人の記憶 夏の巻」 spin 08 みずのわ出版
      2010年11月20日)





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by byogakudo | 2011-08-26 11:42 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 08月 25日

しみじみ

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 写真は蔵前・NOCEに行く手前で遇った老犬。昔から住んでいた家を
ときどき修理しながら住み続け、飼い主も犬も老いて、それでも日々は
新しく、毎日、鉢植えに水やりし、朝夕、犬を散歩させる。うつくしい
暮しが想像される。
 しみじみ文学や人情時代小説を解さないわたしにも、理解できる
時空だった。

 わたしのやるしみじみと言えば、毎日の煙草の量が7本を越えずに
続いていることくらいか。
 それにしても以前よりフィルターに接近して吸ってるなあと、しみじみ
思うのだが、これはしみじみではなく、いじましいと言うべきだろう。
 だけど、おととい、ふいに思い出したCRAVEN Aだって、根元近く
まで吸っていた。パリ・1970年、お金がないので、いちばん安い
フィルター付きというので買っていた、まずい煙草だ。

 フィルターがなくても唯一吸えたのが、Senior Service。イザベル・
アジャーニ主演の「死への逃避行」は、洋梨とSenior Service、わたしの
好きなもの二つがキーワードのように登場する映画だった。

 (どう進んでもしみじみ路線に行きそうもない展開だ。)

 ところで、27日(土曜日)もお休みします。よろしく。





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by byogakudo | 2011-08-25 13:54 | 雑録 | Comments(0)
2011年 08月 24日

四方田犬彦「日本映画史100年」読了

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 映画が日本において、どのように受容されて来たかを、社会との関係に
目を配りつつ、ほぼ10年単位で記された映画史だ。

 『第4章 戦時下の日本映画』には、こんな記述がある。
<国策映画に関わった監督たちのなかには、三〇年代初頭に左翼運動に
 参加したり、傾向映画に身を染めた体験をもつ者が少なくなかった。
 田坂具隆、今井正、山本薩夫がそれにあたる。彼らの多くは戦後、
 ただちに豹変して民主主義を主張し、左翼陣営で活躍した。イデオロギー
 の方向はかくして逆方向となったが、いずれの場合にもアメリカが敵で
 あることには変わりがなかった。>(p101)

 『第7章 第二の全盛時代へ 1952~60』では、木下恵介『二十四の瞳』
や市川崑『ビルマの竪琴』等について、
<そこに共通しているのは、戦争被害者としての日本人という自己認識で
 ある。たとえば『ひめゆりの塔』では、近代日本がいかに沖縄を収奪し、
 その住民たちに皇民化教育を施したかという視点はない。[中略]
 とはいうものの、日本人の死者だけが鎮魂に値するという論理はどこ
 までも日本人にとって居心地がよく、九〇年代にいたるまで形を変えて
 新保守主義者の訴えるところとなった。>(p139~140)

 日本の戦後史を考えるための一冊。
     (集英社新書 2000初 J)





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by byogakudo | 2011-08-24 12:34 | 読書ノート | Comments(0)
2011年 08月 23日

大川をちらと見る

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 8月22日(月) 暑さに続く涼しさで体調が整わない。身体を引きずって
地下鉄で新御徒町下車。7月25日以来の佐竹っ原〜鳥越〜蔵前コースだ。

 佐竹商店街の内側、台東三丁目辺りを歩く。昔は商店か会社だった
ような構えの大きな家と、長屋サイズの小ぶりな家とが混在している。
銅板葺やモルタル壁の看板建築もまだ残っている。戸口には、薄い灰色の
曇りガラスや波形ガラスが使われている。

 大きな道を渡って、おかず横丁のある鳥越一丁目。ここも一歩、路地に
入ると鉢植えが並んでいる。可愛がられている。

 さらに大通りを渡る。鳥越から行くと、いつも迷う。国際通りと
江戸通りとが交わる三角形の突端地帯を見る度に、タイガービルが
どっちだったか解らなくなる。(正解は鳥越に近い国際通り沿い。)

 裏手の精華公園で休憩。蝉の声がする。さて、タイガービルのNOCEへ。
小卓のサイズと品番をノートしまくる。色や脚の素材・太さや細さも書いて
いたら頭がいっぱいになり、疲れ果てる。

 目直しに蔵前橋から大川を眺めて、帰宅。テラスには降りなかった。





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by byogakudo | 2011-08-23 14:30 | 雑録 | Comments(0)
2011年 08月 22日

四方田犬彦「日本映画史100年」4/5

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 まず1990年代の映画について書かれた最終章『第11章 インディーズの
全盛へ 1991~2000』を読み、10章に戻り、後書、そしてタイトルに戻る。
 歴史は現代史から遡る方がわかりやすいので。

 目次の右頁に「葉山三千子の思い出に」と献辞がある。
 90年代に見たTVで、「痴人の愛」のモデルのその後みたような老女を見た
記憶があるのだけれど、何の番組だったか、わたしの記憶違いなのか。
 ラメっぽい服が年齢にそぐわないので、彼女は若い頃の自画像から逃れられ
なくなっていると感じて、その後のナオミと記憶してしまったのだろうか。
 
     (集英社新書 2000初 J)





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by byogakudo | 2011-08-22 12:00 | 読書ノート | Comments(0)