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猫額洞の日々

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2013年 02月 28日

サマセット・モーム「中国の屏風」読了

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 1920年ころの中国、中華民国に暮す欧米人たちは、モームの
意地悪な目にどう映ったかが描かれる。

 モームの人間観察眼はクリスティのミス・マープルを思い出させる。
故郷を離れ、異郷に暮すことでひとはどう変わるか。変わるまいとして
どんな無理を自分にしいることになるか。モームは見逃さない。

 平等意識が強く、周りの中国人を自分と同じ人間として見よう、接しよう
と思いながら、彼らに直面すると黄色人種への嫌悪感が隠せない、真面目な
伝道師。
 長く中国に暮しながら、一語も中国語を解さず、母国にあるときと同じ生活を
続けようとする官吏やその夫人たち。
 どちらもその偽善やグロテスクさが指摘される。

 階級社会の常として召使いと対等に口をきくことがありえないイギリス人・
モームは、ある宿屋でクーリーと屈託なく喋っている中国の役人を見て
ショックを受けた挙句、真の平等や民主主義は西洋がもたらすものではなく、
「汲み取り便所」の臭さに馴れきった(階級に関係なく、みんな便所の臭いや
風呂に入らない体の臭さを感じなくなっている)中国人の間にある、と喝破する。
 風太郎あたりが言いそうな説でもある。

     (ちくま文庫 1996初 J)





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by byogakudo | 2013-02-28 17:22 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 02月 27日

『私は猫ストーカー』サウンドトラック!

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 けやき橋商店街の猫の写真を上げる日に、蓮実重臣氏から『私は
猫ストーカー』サウンドトラック音楽配信のお知らせをいただく。
 『ねこ新聞』風にいえば「これこそ猫のご縁」!

 音楽はこれまでと同じく、iTunes Store でも購入できますが、
Amazonで、原作(中公文庫版が加わる)・DVD・サウンドトラックの
三点とも買えるようになりました。

 以下、『私は猫ストーカー』サウンドトラックのご案内と紹介文です。

______________________________

第64回毎日映画コンクール音楽賞 受賞作品
『私は猫ストーカー』(音楽:蓮実重臣)


「かわいい!」「耳から離れない!」「思わず口ずさんでしまう」と、
大反響だったテーマソング『猫ストーカーのうた』(うた:岡村みどり
& Glenn Miyashiro)をはじめ、映画音楽全曲、本編未使用楽曲、
『猫ストーカーのうた』のインストゥルメンタルを収録した、映画『私は
猫ストーカー』(主演:星野真里、2009年劇場公開作品)のサウンド
トラックが Amazon MP3 に登場!
『猫ストーカーのうた』、そして軽快なエレクトロニック音楽を聴きながら、
この映画に登場した猫たちを思い出してみませんか?

Amazon MP3 『私は猫ストーカー』サウンドトラック
______________________________

蓮実重臣さんは、きっと猫オーケストラの指揮者なのです。
気ままに歩く猫の背中に、タクトをひと振りすると、毛並みが
みるみる輝きます。
うたを歌えば、明日も猫ストーカーしよーっと、やる気がでます。
【『私は猫ストーカー』原作者:浅生ハルミン】
______________________________

リンゴンリンゴン、天空から蓮実重臣の音楽が、猫ストーカーの街に鳴り響く。
人のようで猫のような模造体の瞳が、永遠の隙間から映画を見守ってくれてる
ような気持ちになるのです。
【『私は猫ストーカー』監督:鈴木卓爾】
______________________________

 『私は猫ストーカー』よ、永遠なれ!





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by byogakudo | 2013-02-27 13:56 | 映画 | Comments(2)
2013年 02月 26日

ゆらぐ空き地

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 平屋と二階建ての間の細い道の先に空き地が見える。不法侵入の
誘惑に駆られる。そうっと入って行ったら、ここが待っていた。

 時間だけが残っている土地。皮膚が堆積した時間に晒され、ぞわぞわする。

 We Kiss - Genesis P. Orridge & Psychic Tv 





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by byogakudo | 2013-02-26 13:34 | 雑録 | Comments(0)
2013年 02月 24日

サマセット・モーム「中国の屏風」半分弱

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 むかしミズY・Sが、モームの「中国の屏風」はないかと、探していらした。
文庫版は見つからなかったが、古書展で「支那の屏風」があり、それでよい
と言ってくださった。

 その後F氏のために、ちくま文庫「モーム・コレクション」を探し、たしか
その中に「中国の屏風」もあったが、自分で読むのはこれが初めてだ。

 モームの長篇は、わたしはどうも向かないが、これはいい。短篇小説に
なる手前のスケッチ集だが、早い筆さばきが見えるようで好みだ。一瞬で
捕えたシーンが鮮やかだ。

     (ちくま文庫 1996初 J)





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by byogakudo | 2013-02-24 20:05 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 02月 23日

板坂元「日本語横丁」読了

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 今週の新着欄です、よろしく。
 新着欄

 『第五章 ことばの履歴』の『四 語史辞典』は、言語感覚における
時代色について、である。

 荷風が『十日の菊』で嘆いた、大正時代には聞きづらい、翻訳調の
田舎臭さを感じさせる<低気圧>や<暴風雨>等の言葉も今では定着
してしまったが、『語史辞典』的に記録しておきたい、という。

< 大正の小説や芝居を読むとき、えらくハイカラな言い回しをして
 いるのか、普通の世間並みのことばづかいをしているのか、昭和の
 われわれにもわかりにくくなったし、後世はますます実感が湧いて
 こないはずである。>(p156)

 ことば実感辞典、みたような試みであろう。

<奈良時代から無制限に近く外国語を輸入してきた日本語は、あまり
 歯どめがなかったものか、じつにおおらかに新しいことばをとり入れる
 習慣を持っている。それだけに、記録するほうも多忙をきわめることに
 なるのだが、このほうにはあまり関心がはらわれていない。>(p159)

 若いときに自分の重箱の隅体質を認識していたら、日本文学科に入って、
この手のこまごました研究分野に専念する、というルートもあっただろうにと、
今頃思っても、もはや取り返しがつかない。
 だいいち、あんなフワフワと漂流していたオネエチャンが、辛気くさい顔を
して、毎日、分類カード作りに励む姿なんて、やはり起こり得なかったことだ。

     (講談社学術文庫 1978初 J)





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by byogakudo | 2013-02-23 21:06 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 02月 22日

襲来のころ

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  写真右奥が青梅街道。そのむかしEP-4の皆さんも襲来した__
あれこそ、襲来。嵐の一種だった。__M画伯邸跡地である。
 奥右、青梅街道寄りに待合室。左手前にS室。

 これは駐車場の写真ではない。世界中で10人くらいは知っている場所。





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by byogakudo | 2013-02-22 20:23 | 雑録 | Comments(2)
2013年 02月 21日

板坂元「日本語横丁」半分ほど

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 細かいことが気になる体質があるのだろう。わたしの場合は、無知・
無学のコンプレックスから些細な事象に入り込むと理解していたが、
近世文学者である板坂元「日本語横丁」を読んでいると、学者にも
細事にこだわる人がいる、と知る。

 専門外であっても言葉に関する事柄となると、あらゆる方面に興味が
湧くようで、たとえば速読訓練の機械について書いている。

<写真のシャッターと同じような装置をして、紙面が二十五分の一秒、
 五十分の一秒、百分の一秒と被験者に対して露出されるようになって>
いて、はじめは綴りの少ない単語を1/25秒、1/50秒、1/100秒と時間を
短くして認識させ、だんだん綴りの数を増やし、単語数も増加、ついには
二、三行の文章になる。
< たぶん、はじめは交通取締りの警官に違反した車のナンバーを一目で
 覚えさせるために工夫された機械だと思うが、今は方々の学校で用いられて
 おり、仕掛けもだいぶん複雑になり教室では映画のスクリーンに字が現われる
 ようになっているそうである。>(p34~35)

 どうもアメリカ的な能率のよさと、あたしはウマが合わないみたい。必要に
応じて走り読みすることはあるけれど、これは量で質をねじふせるやり方に
思える。

     (講談社学術文庫 1978初 J)


 まったく違う話だが、excite blogの写真の扱いがいやな方向に変わった。
これまでは写真をクリックすると、たんに拡大判が画面に出るだけだったのに、
今や、以前アップした写真に隙間なく取り囲まれた、うるさい画面表示である。
 何を読み取らせようというのだろう。やかましくて、一枚の写真の魅力を殺ぐ
だけだ。

 なにか利用者に恨みでもあるのだろうか。いやがらせとしか思えない。ブログの
引っ越しは面倒だが、考えた方がいいかもしれない。パソコンは使えても、レイ
アウトセンス・ゼロの人間が考えた新機能は暴力である。





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by byogakudo | 2013-02-21 16:57 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 02月 20日

山田風太郎+板坂元+井上マス(?)+向井敏(?)ークリスチアナ・ブランド=今夜の本

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 山田風太郎はほとんど読んでいたつもりだけれど、「剣鬼喇嘛仏」
(徳間文庫 2002初J)の『伊賀の散歩者』は未読だった。不覚。
 
 江戸川乱歩の小説やエッセイを縦横無尽に引用して、一篇の忍者
ストーリーを作り上げてしまうなんて、山田風太郎くらいだろう。
 乱歩の先祖を主人公にして、忍者・松尾芭蕉も登場させる風太郎
ワールド全開である。

 店の棚奥にあった文庫本を表沙汰にしようと出してみたはずが、
目を通してみると面白そうなので、板坂元「日本語横丁」(講談社
学術文庫 1978初 J)と井上マス「人生はガタゴト列車に乗って」
(ちくま文庫 1986初 J)、向井敏「傑作の条件」(文春文庫 1992初 J)
を結局、持ってきてしまった。

 たぶん今夜は風太郎の続きと、「日本語横丁」になるだろう。
 というわけで、クリスチアナ・ブランドはしばらくお休み。店が暇だと
部屋で忙しい。





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by byogakudo | 2013-02-20 12:33 | 読書ノート | Comments(0)
2013年 02月 19日

内田百閒「まあだかい」読了

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 日本文化の基調を成すのがマザコン。毎度言ってるが。

 内田百閒の誕生日を祝う「摩阿陀会」の様子がいつもの
タッチで語られる。

 5回目を描いた『きょうの瀬』によると、このときは二次会の酒場
行きをやめて内田百閒宅に向かった。
 3畳間三つのうち、ひと間は足の踏み場もない書斎だから、残るは
二つの3畳間、6畳分しかないが、ここにもあれこれ物があり、実質
4畳弱に、内田百閒のかつての学生たち他16人が入り込み、夜中1時、
2時になっても居座る。2時半を過ぎた頃、やっと帰って行った。

 さて、この間、内田百閒夫人はどこにいたのか? 何も記述されていない
ので想像するしかないけれど、百閒の隣に坐っていたのかしら? それとも
お勝手にでも引きこもっていたのだろうか。

 さすがに百閒自身が、<サロンだのカフェーだのは、矢張り無駄に存在
するものではない。>(p111)と思うのだが、昔の女性は、ほんとに男を
立てていた。甘やかしていた、というべきか。

 目に見える形で大事にされ、奉られてないと男のひとの才能や実力は
発揮されないものだろうか。女はタフだから、男と一緒にいる時デリケート
な身振りが必要であるが、女の方で丁寧な身振りがめんどくさくなって、
今日の晩婚化が進んだのか。それだけが理由ではあるまいが、異性間の
ルームシェアみたいな結婚生活が増えた現在、百閒夫人みたような妻の
あり様は、おとぎ話の世界に見える。(でも昔はありふれてたのよ。)

 旧制高校的なるものは、鼻持ちならないエリート意識のかわいらしさも
含めて、きれいではあるけれど、その根っこはマザコンだ。
 根はすでに絶えた。相手に母親や父親を求めるのではなく、自立した
ボ(ー)イフレンドとガールフレンドとがそれぞれの部屋を持ち、共用
スペースで毎日会い続けながら、結婚生活を続けるしかないのだろう。
 生きるために必要な自恃の念は、自力で調達して。

     (福武文庫 1993再 J)





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by byogakudo | 2013-02-19 10:50 | Comments(0)
2013年 02月 17日

クリスチアナ・ブランド+山田風太郎+内田百閒

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 昨日なにか忘れてると思ったら、新着欄のご案内です。
 新着欄

 クリスチアナ・ブランドは短篇集「招かれざる客たちのビュッフェ」
(創元推理文庫 2001年16版 帯 J)、山田風太郎も短篇集「山田風太郎
妖異小説コレクション 地獄太夫 初期短篇集」(徳間文庫2003初 J)、内田
百閒は「タンタルス」(福武文庫 1991初 J)が捗らないので、「まあだかい」
(福武文庫 1993再 J)を持ってきた。

 昨日の寒さでかなりへたばっている。店内の寒さに対抗するだけで
手一杯で、夜、本を読む体力がキープできない。





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by byogakudo | 2013-02-17 13:44 | 読書ノート | Comments(0)