猫額洞の日々

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2005年 08月 08日

なかなか傑作

の部類ではないか、「ハイーライズ」(バラード ハヤカワ文庫 80初)は!
むかし読んだときの記憶よりずっとよかった。最近の痩せた作品と、無意識裡に比較
しているのかも知れないが。
 
 超高層集合住宅を舞台にしたカタストロフィ。社会的階層がそのまま上中下階層に
住まうハイ・ライズで、ある日を境に全員が幼児退行する。生ゴミのヴィニル袋は
廊下・室内に満ち、他者から身を守るバリケードや身体と心を寛がせるクッション
になる。自己充足的な幼児の王国に住む彼らはビル外との隔絶を求めて、誰も
エレヴェイタや配管の修理を呼ばないから、ビルは人々の心身の荒廃と歩調を揃えて
スラム化する。そしてみんな死んでいく。隣に建つハイーライズでも停電が起こり
次の廃墟と幼児後退者の群れとが準備される。

 暗くて妙に心地よい世界だ。いちばん好きなのは「ヴァーミリオン・サンズ」だが。

 
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# by byogakudo | 2005-08-08 15:42 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 08月 07日

J・G・バラード「ハイーライズ」

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を二十余年ぶりに?再読中。以前読んだときも社会派っぽさを感じたが、それは
今回も変わらない。イギリスの小説家(や映画監督)には抜きがたく社会派性があるの
かしら__誰だったか、「イギリスで映画を撮るかぎり、階級制度を無視したシナリオ
を書く訳にいかない。主人公の青年がどんなクラスに属しているか、から脚本が
始まる。それを外したくて、私はハリウッドにやってきた」とインタヴューで答えて
いた。
 
 「ハイーライズ」は実は、むかしの印象ほど社会派臭はない(いま読んでいる範囲
では)。社会意識よりタナトス傾向の方が圧倒している。暴力への情熱に、読み手も
感染して、つい読んでしまう。

 映画監督はニール・ジョーダンだった。やっと思い出したと言いたいところだが、
「クライング・ゲーム」をようやく思い出して、PC検索した結果である。こんなに
記憶力が薄くなっちゃって、まあ・・・。
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# by byogakudo | 2005-08-07 13:16 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 08月 06日

ハリウッド・バビロン

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 初夏の猫額洞入り口は、白いレースの遮光カーテンで覆われていた。昼間、外から
中を覗くと様子がよく解らない。夜はその逆になる。布地1枚だが外気を充分遮って
くれるし、空気も流通する。冷房をかけていても酸欠しない。
 そんな日々は過ぎ去り、今やしっかりガラス扉を締め切り、冷房装置内に籠って、
それでも暑さに頭が働かない。いやな季節だ。

 川本三郎「アカデミー賞」(中公新書 90初)読了。川本版「ハリウッド・
バビロン」? アンガーほどは栄光と悲惨に情熱を注いでないけれど、でも暗い
エピソードが目につく。筆致は穏やかなのに。ハリウッドを描こうとすると、誰でも
光と影のコントラストに眼をやられてしまうのかしら?


 
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# by byogakudo | 2005-08-06 18:35 | 雑録 | Comments(0)
2005年 08月 05日

タリーズ・コーヒー探訪

 暑さに負けつつ、本を買いに。なんだか地味で渋い本ばかり__でもない、か?
帰るさ、神保町のタリーズに休む。ここはビル前の広場と呼応するように天井が高く、
外光がよく入る。ただ喫煙室の音は感心しない。壁に反響してキンキンしている。
まだ3店しか行ってないが、日本橋タリーズが肌理があらくて駄目だった。九段下、
新宿御苑前はそれぞれに、何てことなくて、気持よい。次は新宿西口、東京医大隣の
タリーズを訪れよう(いつになることやら)。

 昨夜「はじまりはジャズ・エイジ」を終える。敗戦時にティーネイジャーだった
世代(の一部)とアメリカとは、いまの若い世代よりもっと、密接な関係があった
ような気がする。肯定/否定、どちらの立場であれ、もっと骨がらみの内在化された
関係が。
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# by byogakudo | 2005-08-05 20:29 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 08月 04日

今年は5日間の夏休み!

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を取ることに(やっと)決定。猫額洞HPトップにも書きましたが、

8月23日(火)~27日(土)、猫額洞は夏期休業いたします。
この間、メール通販もお休みです。
メール等でご連絡を頂きましても、お返事は28日(日)以後になりますので、
よろしくお願い申上げます。

 去年ほどの酷暑にはならないですむんじゃないかと、甘い期待をしていたが、
やはり甘かったようだ。どっしりした熱さに囲まれている。手で触れるような熱気。
多少の撒水では追いつかない、かえって舗道の上に熱がかたまって出てきた。
 あのビスケット型した、厭な朱色と小豆色とに白ブチ混りの舗道は、それでも
保水性はあるようで、水を撒いたあとかなりの時間、黒染んでいる。色と型とを
なんとかできないのか。見るたびに気が滅入る、だらしなく、安っぽく、悲惨な
形状だ。暑さのせいの八つ当たりもあるが、あれはひどい代物です。
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# by byogakudo | 2005-08-04 18:08 | 告知 | Comments(0)
2005年 08月 04日

古書猫額洞ホームページ案内

ホームページをご案内申上げます。
新着本は毎週末更新、その他各目録は随時更新です。
下記をクリックして下さい。
     
古書猫額洞
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# by byogakudo | 2005-08-04 14:22 | Comments(0)
2005年 08月 03日

何も覚えてない

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 2時間で20冊くらいしかネットに上げられないのか。遅いなぁとは言え、1冊
上げては付箋に書いて貼り付けていたから、そんなものかも知れない。02です、
お暇でしたら、よろしく。まだまだ上げなきゃならない・・・。

 死んだように静かな夏の午後の街は、とてもなつかしい。回覧板を廻しに!外に
出たら、夏の記憶がよみがえった。

 昨夜は眠いのに川本三郎「ネヴァーランドで映画を」(中公文庫 88初)を斜め読みし
常盤新平「はじまりはジャズ・エイジ」(講談社文庫 85初)に移る。寝ぼけながら
読んだので、読んだという記憶しかない。無駄ってものだ、まったく。
 
 そう言えば先週、「ネロ・ウルフの殺人交響曲」だったか、そんな題名の
パスティーシュ?を読んだが、ウルフ・グッドウィンの日常生活描写がいい感じで
これはと思ったのだが、最後の謎解きの単調さにがっかり。わたしは誰が犯人であれ
構わない人間であるが、あんまり何も考えてなかったかのような謎解きに出会うと、
さすがに嫌になった。
 
 むかしハードカヴァで福永武彦の頁だけ読んだ「深夜の散歩」は、今回も他の筆者の
部分に着かずに棚に戻しそうだ。あっ、これも上げなきゃ。
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# by byogakudo | 2005-08-03 15:37 | 読書ノート | Comments(0)
2005年 08月 02日

山崎阿弥個展@青い部屋

 アーティスト山崎阿弥個展「近視のための緑青」がきのうから渋谷「青い部屋」で
始まった(8月31日まで。最終日にライヴあり)。前回と同じく「青い部屋」エント
ランス・ホールが会場だ。詳細は

     青い部屋 電話03-3407-3564  へ。

 一昨夜は佐高信「タレント文化人100人斬り」(現代教養文庫 98年7刷)と
吉行和子「どこまで演れば気がすむの」(潮文庫 85初)、昨夜は吉行和子の続きと
福永・中村・丸谷「深夜の散歩」(講談社文庫 81初)を読んでいた。
 
 佐高信は何となく、息せき切って悲憤慷慨する人かと思っていたが、そうではない。
道に火のついたまま捨てられた(他人の)煙草の吸い殻を、丁寧に靴でもみ消し、
捨てた人に注意して立ち去るひとのような律儀さで、対象を手際よく批判していく。

 吉行和子の本では「チヨちゃんごっこ」の話がいい。小学生の頃、妹と一緒に
やっていた遊びで、

     チヨちゃんという素敵な上級生にあこがれていたが、友達になりたくても
     気が弱くってどうやって口をきいていいか分からない。仕方がないので
     画用紙にその人に似た顔を書いて切りぬき、お人形ごっこをした。
     それからは仲良くなりたいと思う人を、次から次へとお人形にしてしまい
     交友した。

 この遊びは数年間続いたが、ある日、自分の考えだけではどうにもならない
他人の言動にとまどって、人形を勝手に動かせなくなって終わった、という。   
     

     
 
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# by byogakudo | 2005-08-02 13:30 | 山崎阿弥 | Comments(2)
2005年 08月 01日

五月真理矢 La PaRaDe live

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 告知が遅くなったが、7月予定の五月真理矢 La PaRaDe live が、

   8月11日(木)西荻窪 音や金時
   (電話 03-5382-2020 http:// www2.u-netsurf.ne.jp/~otokin)

で行われる。坂本弘道氏とのデュオだ。詳細は猫額銅HPリンク欄の坂本氏の
サイトで確認して下さい。
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# by byogakudo | 2005-08-01 12:54 | 五月真理矢 | Comments(0)
2005年 07月 31日

暑中お見舞い申上げます

 とタイトルしたが、まだ暑中でよかったのだろうか? 年中行事に疎いので
暑中と残暑の期間がわからない。好みで行けば残暑見舞いだ。藤原良経の歌が
引用できる。今年も使おう。
     
     手にならす夏の扇と思へども ただ秋風のすみかなりけり

 ウッドハウス「ジーヴズの事件簿」読了。これは喜劇として描かれているが、
悲劇版にすると、映画「召使」になるのじゃないかしら? 独身の主人と
その従者との、離れがたい関係の物語と読めば。
 また、喜劇のもつスピード性、混乱がさらに混乱を招くありさまを読んでいると、
「モンティ・パイソン」を思い出した。パイソンズの祖父にあたる小説では
ないかという推理も浮かんだが、根拠として「ガッシー救出作戦」中にある、
     
     叔母に何かやれと命じられたら、やるしかないのだ。そうでないと、
     大昔のスペインの宗教裁判もはだしで逃げ出すような拷問が待って
     いるのだから。

を持ち出すと、牽強付会と言われそうな気もする。だが、前書きには、ネットの
サーチエンジン「アスク・ジーヴズ」を例にとり、

     英語圏ではウッドハウスの文章がしばしば引用されるが、多くの場合は
     ウッドハウスという引用元さえ付記されない。多くの読者には、前後の
     文脈から見当がついてしまうのだ。

なぞとある。どうなのでしょう?

     
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# by byogakudo | 2005-07-31 17:06 | 読書ノート | Comments(0)